
香港を拠点とする大手独立系投資銀行のAMTDグループが率いる企業連合(コンソーシアム)は、シャオミの金融部門である「シャオミ・ファイナンス(小米金融、現・天星数科)」、シンガポール政府系エネルギー大手の「SPグループ」、東南アジア最大級のP2P融資プラットフォーム「ファンディング・ソサイエティーズ(Funding Societies)」とともに、シンガポール金融管理局(MAS)に対してデジタル銀行ライセンスの申請書を提出した。
シャオミによると、この共同事業体は主に東南アジアにおける中小企業(SME)の深刻な資金不足ニーズを満たすことを目的としている。MASは、デジタル・フルバンク(DFB)ライセンス向けに7件、デジタル・ホールセールバンク(DWB)ライセンス向けに14件の計21件の申請を受理したことを発表しており、最終的にDFBを2件、DWBを3件発行する計画だ。
この「デジタル銀行レース」には、中国フィンテック最大手のアント・グループ(旧アント・フィナンシャル)やバイトダンス(ByteDance)、ゲーミングデバイス大手のレイザー(Razer)などの中国系大手のほか、シンガポール現地からはEC最大手ショッピー(Shopee)の親会社シー(Sea)、配車大手グラブ(Grab)と通信大手シングテル(Singtel)の連合など、アジアのテック巨頭たちがこぞって参入している。
インドの個人融資市場へ「Mi Credit」で攻勢
一方、シャオミはインド市場において、スマートフォンの圧倒的なシェアを基盤とした融資アプリ「Mi Credit(ミー・クレジット)」を通じ、金融サービス事業の立ち上げを本格化させている。インドにおける1兆米ドル規模とも言われる融資市場を狙う同社は、数ヶ月にわたるパイロット運用の末、390万米ドル(約4億2,000万円)以上のローン実行実績を引っ提げ、本格的なデジタル融資マーケットプレイスを発表した。
発表時点で、このサービスはインド国内10州の約1,500の地域(郵便番号単位)で利用可能になっており、間もなくインド全土へ拡大する。Mi Creditでは、最大10万インドルピー(約1,400米ドル / 約15万円)のローンを提供し、月利わずか1.35%からの低金利を強みとしている。
シャオミのこの融資マーケットプレイスは、アディティア・ビルラ・ファイナンス(Aditya Birla Finance Limited)などの現地の非銀行金融会社(NBFC)と提携しているほか、ZestMoney、Money View、EarlySalaryといった融資分野の有望スタートアップともシステムを連携している。これらの提携企業にとっては、数億人規模にのぼるインド国内のシャオミ製品ユーザー層へ一気にリーチできるという計り知れないメリットがある。また、顧客の信用リスクを高度なオルタナティブデータを用いて審査する「CreditVidya」とも提携し、融資実行の成功率を高めるインフラを整えている。
ハードウェアからインターネットサービスへの多角化
シャオミのこうした動きは、スマートフォンやスマートTVなどのハードウェア端末の販売に依存する従来の収益モデルから脱却し、「Mi Music」や「Mi Video」、さらには独自の広告配信ネットワークといった高収益な「インターネットサービス」部門から利益を生み出すという中長期戦略に沿ったものだ。
インド市場においては、2019年に政府が推進する即時決済インフラ「UPI(Unified Payments Interface)」を搭載した決済アプリ「Mi Pay(ミー・ペイ)」の提供を開始。さらに遡る2017年には、現地の学生向けローン支援プラットフォームである「KrazyBee」に800万米ドル(約8億6,000万円)を投資するなど、布石を打ち続けてきた。
この戦略は、中国国内で2015年に「Mi Finance(小米金融)」を立ち上げ、2016年に「Mi Pay」を導入した中国市場のビジネスモデル(プレイブック)を海外で複製する動きそのものである。シャオミにとってインドは中国に次ぐ巨大市場であり、現地トップシェアのスマートフォン販売台数をデジタル金融の強力な顧客獲得チャネルへと転換している。ハードウェアと金融サービスを統合し、アジアのモバイルフィンテック分野で主要な地位を確立することを目指すシャオミの動向が注目される。
出所:36Kr、MAS公式資料
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