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    中国のスマホ決済は年間660兆円、2年で6倍に急成長した理由

    年間取引額が660兆円に達し、GDP規模を超えた中国のスマートフォン決済。Alipayの「芝麻信用(ゴマ信用)」信用スコアシステムによるビッグデータ利活用と、個人情報提供と引き換えに受ける多様な恩恵の実態、金融・広告への波及効果をリポート。

    中国のスマホ決済は年間660兆円、2年で6倍に急成長した理由

    中国で人々の「生活インフラ」として完全に定着したスマートフォン(スマホ)決済。14億人の巨大な消費市場における決済額はわずか2年で6倍に増加し、年間660兆円規模に達した。簡単かつ瞬時に料金を回収できる決済エコシステムは起業家精神(アントレプレナーシップ)を刺激し、シェアサイクルや生鮮食品の即時配送といった新たなデジタルサービスを次々と誕生させている。

    中国は今、人々の消費生活とお金の流れがガラリと変わる歴史的な転換点にある。現地の調査データによると、中国のスマホ決済は3年ほど前から急拡大し、2016年の年間決済総額は39兆元(約660兆円)に到達。これは日本の国内総生産(GDP)を上回る規模だ。

    14億人の旺盛な消費マネーを取り込むため、スタートアップ起業家が斬新なサービスを競うようにローンチしている。利用の利便性が高まることでさらに消費者に浸透し、それが次のイノベーションを呼び込む好循環が構築されている。

    日本銀行(日銀)が公表したレポートによると、店頭でのスマートフォン決済の利用率は日米独が2〜6%に留まるのに対し、中国では調査対象の98%が「3カ月以内に利用した」と回答した。上海の中心部に密集する八百屋や個人商店など20店舗を実地調査したところ、電子決済に対応していなかったのは婦人靴店1店舗のみであり、飲食店の店員は「会計の9割以上がスマートフォン決済だ」と語る。中国のスマホ決済市場は、アリババグループ系列の「Alipay(支付宝)」と、テンセントが運営する「WeChat Pay(微信支付)」の2強が延べ12億人のユーザーを囲い込んでいる。

    業界首位のAlipayの場合、1日あたりの決済処理件数は1億7500万回に及ぶ。Alipayの利用には実名や身分証明書番号の登録が必須となっており、支払金額、購入商品、利用店舗などの精緻な購買情報が、個人属性と紐付いた形で毎秒2,000件のペースで蓄積されている。

    「データは新しい石油である」。アリババの創業者である馬雲(ジャック・マー)会長は、ビッグデータ解析やAI(人工知能)が進化する現代のビジネスにおいて、データこそが最大の資源(石油)であると繰り返し主張してきた。

    この「現代の石油」を原資に、アリババは何を行っているのか。その核心となるのが、Alipayが展開する個人向け信用スコアサービス「芝麻信用(ゴマ信用)」である。「芝麻(ジーマー)」は日本語で「胡麻(ゴマ)」を意味し、アラビアンナイトの「アリババと40人の盗賊」に登場する呪文「開けゴマ!(芝麻開門!)」に由来する。

    芝麻信用のスコアは、ユーザーの決済履歴や学歴、勤務先、資産情報などの追加入力情報に基づき、350点から950点の範囲で個人の信用力を評価する。個人情報の追加入力を控えているユーザーのスコアは590点程度に留まるが、日常的にサービスを使いこなす現地の中国人では840点といった非常に高い信用力を獲得している。

    信用スコアが高くなると、様々な実質的な恩恵が得られる。例えば、シェアサイクル利用時のデポジット(保証金)が免除されたり、海外旅行用のモバイルWi-Fiルーターが無担保・無料でレンタルできたり、一部の国へのビザ申請時の書類提出が簡素化されたりする。これらの特典(インセンティブ)があるため、中国の消費者は自ら進んで詳細な個人情報を登録し、その結果データがさらに厚みを増し、スコアの精度が向上していく。

    この信用力評価の仕組みは、金融ビジネスのあり方も変貌させている。上海の消費者金融会社では、芝麻信用のスコアのみを融資判断の基準とし、担保や複雑な審査なしで即座に最大5,000元(約8万5000円)を融資するサービスを提供している。

    富裕層に効率よくアプローチしたい高級ブランド、所得水準に合わせて精密なターゲティングを行いたい広告主、貸し倒れリスクを最小限に抑えたい金融機関など、アリババが掘り当てた「データの山」に群がる企業は数知れない。Alipayを運営するアント・フィナンシャル(螞蟻金服)の最高戦略責任者(CSO)である陳竜氏は、「中国において、フィンテックはすでに社会のインフラとして溶け込んでいる」と述べている。

    情報源:日本経済新聞

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