スターバックスにとって、中国は米国に次ぐ世界第2位の市場です。2018年時点で3,300店舗以上を展開し、実質的な競合は存在しないと言われていました。その常識を覆そうとしているのが、北京発のコーヒースタートアップ「Luckin Coffee(瑞幸咖啡)」です。
創業からわずか1年足らずで中国の大都市全域に525店舗を展開したLuckin Coffeeは、2018年7月に2億ドルの資金調達を完了し、評価額10億ドル(約1,096億円)のユニコーン企業となったことを発表しました。投資家にはセンチュリウム・キャピタル(元ウォーバーグ・ピンカス中国社長が設立したプライベートエクイティファンド)や、シンガポールの政府系ファンド「GIC」が名を連ねています。
スターバックスの「模倣品」ではなく「テック型コーヒー」
中国メディアではLuckin Coffeeをスターバックスのライバルとして積極的に比較していますが、同社のアプローチはむしろ中国のテックトレンドを取り入れた独自モデルです。
モバイル完結型の注文・決済
店舗に入ると、すぐにアプリのダウンロードを促されます。注文と支払いはアプリ内で完結し、WeChat Pay(微信支付)または「コーヒーウォレット」が利用可能。現金は一切受け付けません。これはアリババやテンセントがスーパーやコンビニと組むモバイル決済・データ分析・在庫管理を融合した「ニューリテール(新小売)」モデルに合致しています。
フードデリバリー特化型店舗
525店舗のうち231店舗は、実際の接客スペースを持たないデリバリー専用の「無人型キッチン」です。低賃金のデリバリースタッフによる迅速な配達が中国のEC文化を支えており、Luckinはそのインフラをコーヒービジネスに応用しています。
セレブリティを起用した積極的なマーケティング
スターバックスが伝統的な広告を避けてきたのとは対照的に、Luckinは人気俳優・女優が青と白のカップを持つ大型広告を都市部に大量投下しました。スマートフォンメーカーのOppo、Vivo、Xiaomiと同様の有名人起用戦略です。
スターバックスより20〜30%安い価格設定
北京でのラージアメリカーノは21元(約315円)と、中国のスターバックス(米国より高い価格設定)より大幅に安く設定されています。
低価格モデルで収益性を維持できるか
北京大学で投資を教えるジェフ・タウソン氏は、「スターバックスの強みの多くは、競合が手を出しにくい高賃料・好立地の物件にある。Luckinの店舗の多くはそのような場所にない」と指摘します。一方で、「アプリを通じて人々のスマートフォンを本当に掌握できれば、不動産の優位性を克服できる可能性もある」とも述べています。
低価格と急速な店舗拡大に伴うコスト増がどのように収益と折り合いをつけていくのか、その持続可能性が試されています。
情報源:Quartz
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