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    アリババの「独身の日」が示す中国の雇用とキャッシュレス決済

    アリババグループが主催する「独身の日」セール。2017年の取引額は1682億元(約2.8兆円)に達し、中国の消費全体に占めるネット通販比率は15%を超えました。この急改革が宅配員の雇用创出やモバイル決済の普及など、中国社会のインフラを急速に変革する「アリババ・エフェクト」の実態を解説します。

    アリババの独身の日セール会場の様子
    アリババの独身の日セール会場の様子
    1682億元(約2.8兆円)の取引額を記録した2017年のアリババ「独身の日」セール会場

    米アマゾン・ドット・コムが経済の新旧交代を促す存在として注目される中、ネット通販(EC)の浸透度と進化のスピードにおいては、中国が世界をリードしています。アリババグループ(阿里巴巴集団)が11月11日に開催した、年に一度の巨大セール「独身の日(W11)」では、1日だけの取引額が1682億元(約2兆8000億円)に達しました。中国の消費全体におけるEC化率はすでに15%に達し、日米を大きく上回っています。

    あらゆる業界や生活インフラに影響を及ぼす「アリババ・エフェクト」の膨張は、日本経済にとっても無視できない巨大な潮流となっています。

    「独身の日」に現れる驚異的なシステム負荷への対策

    「新しい消費の時代が到来した」。アリババの張勇(ダニエル・チャン)CEOは、独身の日セールの開幕直前にこう宣言しました。上海市内の特設会場に設置された巨大スクリーンには、秒単位で膨れ上がる取引額が表示され、2017年の最終取引額は日本の楽天の年間流通総額に匹敵する規模へと成長しました。

    現在、アリババの通常時の取引額は1日あたり約100億元(約1700億円)です。その15倍以上となる極端なピーク負荷に照準を合わせ、ITインフラや物流・配送システムを構築することは、従来の経営セオリーからすれば過剰投資とみなされがちです。しかし、アリババの考え方は異なります。「近い将来、1日1500億元(約2.5兆円)の取引が日常になる。これはそのための準備にすぎない」と幹部は語ります。

    圧倒的なEC化率と急成長する雇用インフラ

    この急激な成長は夢物語ではありません。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、中国のB2Cネット通販市場は約70兆円に達し、約69兆円の米国を抜いて世界最大となっています。消費全体に占めるEC比率は約15%と、米国の7%、日本の5%を圧倒しています。アリババの時価総額も一時的にアマゾンを上回るなど、その規模は世界トップクラスです。

    また、この巨大なECエコシステムは雇用や決済のあり方も劇的に変化させています。ラストワンマイルの配送を担う宅配員(デリバリースタッフ)は、中国全土で300万人から400万人に達するとされ、地方からの出稼ぎ労働者に対して月額5000元前後(約8万5000円)の安定した収入機会を提供しています。この新たな中間層の誕生が、さらなる内需を呼び起こす好循環を生み出しています。

    モバイル決済の爆発的普及と日本のインバウンド対策

    ECの成長を支える両輪の一つが、スマートフォンによる決済プラットフォームの浸透です。アリババの「Alipay」とテンセントの「WeChat Pay」の登録者数は延べ12億人を超え、中国のモバイル決済市場規模は2012年の2000億元から2016年には39兆元(約660兆円)へと、わずか数年で天文学的な成長を遂げました。

    日銀のレポートによれば、店頭でのモバイル決済利用率は日米独で2〜6%にとどまるのに対し、中国では98%が「3カ月以内に利用した」と回答しています。GDPに対する現金流通比率は、タンス預金文化が根強い日本(18.6%)とは対照的に、中国では米国(7.4%)並みに低下しており、事実上のキャッシュレス社会が完成しています。

    大量の模倣品への対策など、急成長に伴う課題は依然として残されていますが、決済や物流システムの急速なデジタル化がもたらす社会変革は、日本にとっても多くの示唆に富んでいます。アリババは訪日中国人観光客向けの決済サービス導入を進めるだけでなく、日本国内の消費者向けローカル決済サービスの展開も視野に入れています。

    情報源:日本経済新聞

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