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    アリババ「Tao Cafe」が火をつけた中国の無人店舗開発競争

    アリババが発表した実験的店舗「Tao Cafe(タオカフェ)」を皮切りに、中国で急速に加熱する「無人コンビニ・無人店舗」の技術革新とスタートアップ競争を解説。顔認証やRFID技術、さらには信用スコアと連携した盗難防止システムの実態に迫る。

    アリババの実験的無人店舗「Tao Cafe」
    アリババの実験的無人店舗「Tao Cafe」

    レジは20世紀の遺物として消えてなくなってしまうのだろうか。2017年7月8日から12日の間、中国で試験的に開設された「Tao Cafe(タオカフェ)」は、世界の小売業界の話題をさらった。200平方メートルほどの店内には雑貨や土産物が並び、コーヒーなどを注文できる飲食スペースも併設されている。入店時にスマートフォンアプリで認証を行った後は、財布を開く必要も、決済端末を操作する必要もない。欲しい商品を手に取って店を出るだけで自動的に決済が完了する。

    Tao Cafeを運営するのは、中国でEC(電子商取引)を中心に巨大なデジタル商圏を築いたアリババグループ(阿里巴巴集団)だ。同社はECサービス「淘宝(タオバオ)」や、モバイル決済サービス「Alipay(アリペイ)」などのオンラインインフラを運営している。これらの仕組みを活用し、さらに最新のAI(人工知能)技術や生体認証技術を組み合わせることで、シームレスな購買体験を実現した。

    利用者がTao Cafeの入店時にアプリでQRコードをスキャンし、顔登録を行うのは、タオバオのアカウント情報と入店者の顔データを紐づけるためだ。カフェスペースで注文する際には、カメラが顔写真を照合し、誰が何を注文したかをシステムに記録する。商品が完成すると、再度カメラで本人確認を行い、的確に商品が引き渡される。

    また、飲食スペース以外の物販エリアでは、商品を手にとってゲートを通過するだけで購入が完了する。すべての商品にRFIDと呼ばれる電子タグが貼付されているため、会計用のレジを通す必要がない。出口の検知ゲートが「誰がどの商品を持ち出したか」を自動判別し、紐づいているAlipayアカウントから代金が引き落とされる。アリババが持つオンラインとオフライン(O2O)の技術を結集したビジネスモデルと言える。

    Tao Cafeのコンセプトに影響を与えたのは、米Amazonが発表した「Amazon Go」だ。2016年末に発表されたこの無人コンビニは世界に衝撃を与えた。RFIDタグを利用するTao Cafeに対し、Amazon Goは店内に設置された多数のカメラと重量センサー、AI深層学習(ディープラーニング)を用いて、利用者が手にした商品を追跡する技術(Just Walk Out)を採用している。

    こうした実験的な店舗に加え、中国国内ではすでに実用化された無人店舗が続々と誕生している。その代表格が、広東省を中心に無人コンビニを展開するスタートアップ「BingoBox(ビンゴボックス)」だ。食料品やスナックが並ぶ約15平方メートルのコンテナ型店舗で、ユーザーはスマートフォンのアプリで入口のロックを解除して入店し、購入する商品のバーコードをセルフレジでスキャンして退店する。決済はWeChat(微信)のモバイル決済機能「WeChat Pay(微信支付)」またはAlipayで行う。

    BingoBoxでは、人件費などの運営コストが大幅に抑えられているため、商品は一般的なコンビニより5%ほど安く提供されている。店舗の設置コストは従来のコンビニの4分の1程度、月々の運営費は8分の1に留まるという。この圧倒的なコスト効率の高さから、運営会社は1400万ドル(約15億円)の資金調達を実施し、200店舗以上の出店を目指すと表明している。

    さらに、中国では「F5 Future Store」やスウェーデン発の「Wheelys」、飲料大手の「Wahaha(娃哈哈)」などがこの無人店舗開発競争に参入しており、ベンチャーキャピタルから巨額の資金を引き出しながら事業を急拡大させている。この動きは日本企業にも波及し、ローソンは上海でAlipayやWeChat Payと連携した無人決済の実証実験店舗をオープンさせるなど、現地での対応を急いでいる。

    日本の読者からすると、「無人店舗では万引きや不正利用が多発するのではないか」という懸念が生じるかもしれない。しかし、中国における実態は、不正行為が驚くほど少ないと報告されている。

    これには中国独自の「信用経済」が背景にある。例えばBingoBoxでは、決済を行うWeChatやAlipayのアカウントと紐づいており、不正行為を行った利用者は即座にアカウントが凍結され、警察へ通報される。モバイル決済が生活必需品となっている中国では、アカウントの停止や社会的信用スコアの低下は死活問題となるため、強力な万引きの抑止力として機能しているのだ。店内に設置された無数の監視カメラとAIの監視網は、防犯面において有人店舗よりもはるかに強固なセキュリティ体制を実現している。

    情報源:SBBIT

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