中国で急成長を続けるインターネット保険(ネット保険)業界の競争が激しさを増す中、ソーシャルメディアおよびゲーム大手のテンセント(騰訊)が、同社のメッセージアプリ「WeChat(微信)」および「QQ」を通じて保険商品を販売するための代理店ライセンスを新たに取得した。
中国の保険業界を監督する中国保険監督管理委員会(CIRC)は10月11日、テンセントが57.8%の株式を保有する「微民保険代理(Weimin Insurance Agency)」に対して営業免許を付与したと発表した。同社の主要株主にはテンセントのほか、台湾の富邦損害保険や中国のプライベートエクイティ(PE)ファンドなどが名を連ねている。
微民保険代理は2016年10月に資本金2億元(約34億円)で設立された。CIRCから今回ライセンスを取得したことで、自社の巨大なアプリプラットフォーム上で保険商品の直接販売、保険料の徴収、そして保険金請求手続きの受付が可能となった。
WeChatおよびQQの月間アクティブユーザー数は合計で9億人を超えており、いずれも「WeChat Pay(微信支付)」などの強力なオンライン決済システムと密接に統合されている。この巨大な顧客接点により、微民が提供するネット保険の金融ポートフォリオは急速な立ち上がりが期待されている。
中国のフィンテックブームと、かつては国営企業によって独占されていた金融セクターの規制緩和の流れに乗り、多くのIT企業がこぞってネット保険市場に参入している。中国初のインターネット専業保険会社である「衆安保険(ZhongAn Online P&C Insurance)」が先月、香港証券取引所に上場した際には、投資家による応募が殺到したことからも、この市場に対する期待の高さが伺える。
コンサルティング会社オリバー・ワイマンの調査レポートによると、中国で販売された新規保険契約(件数ベース)のうち、昨年はすでに約65%がインターネット経由での販売であった。同社は、中国のネット保険市場規模は2016年の3630億元(約6.2兆円)から、2021年には1兆4100億元(約24兆円)規模へ急成長すると予測している。
業界関係者の間では、テンセントは株主として参画している衆安保険への支援以上に、今回ライセンスを取得した自社支配下の「微民保険代理」を優先するとの見方が強い。なお、衆安保険にはテンセントのほか、アリババ傘下のアント・フィナンシャル(螞蟻金服)や中国平安保険も大株主として出資している。
テンセントはこのほかにも、英国の保険大手アビバ(Aviva)の香港法人の株式20%や、中国の和泰人寿保険の株式15%を保有しており、アジアのデジタル保険分野での影響力拡大を着実に進めている。
対するライバルでAlipayを運営するアント・フィナンシャルも、2016年に台湾の損害保険大手・国泰産険の中国法人(国泰産物保険)の株式51%を取得して傘下に収めた。国泰産物保険はIT技術を導入したデジタル変革(DX)を推進し、先行する衆安保険などの競合に対して真っ向から勝負を挑む構えを見せており、中国の二大テックジャイアントによるフィンテック領域の覇権争いは、保険セクターでも本格化している。
情報源:財新
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