全般検索

    WEEKLY DEEP TECH BRIEFING

    週刊ディープテック・ダイジェスト

    📖 最新号サンプル・過去号一覧を見る →
    ホーム 最新記事 注目企業
    企業: ファーウェイ Platforms Smart Devices

    中国のシェアサイクルを支える通信技術「NB-IoT」の正体

    中国で爆発的に普及したシェアサイクル大手「ofo(オッフォ)」。ファーウェイが供給するNB-IoTチップセットを採用した次世代スマートロックなど、過酷な環境での長時間稼働と強固なセキュリティを両立させる最先端のIoTインフラと通信技術を読み解く。

    🇯🇵 日本産業対照:
    ofoのシェアサイクルとスマートロック

    現在、上海を訪れると至る所で黄色の自転車を見かけることができる。この黄色い自転車の正体は、中国で急成長を遂げたスタートアップ「ofo(オッフォ)」が手がけるシェアサイクルだ。スマートフォンのアプリでQRコードを読み取って一時的に解錠し、目的地に到着したら街頭の公共スペースに自由に「乗り捨て」ができる利便性の高さから、都市部におけるラストワンマイルの交通手段として不可欠な存在になっている。中国国内だけで約800万台が配置され、1日の利用回数は延べ2500万回にのぼる。サービス展開は中国国内に留まらず、米国、英国、シンガポールなど世界170以上の都市に広がり、総ユーザー数は1億人を超えている。

    この大規模なシェアサイクル事業を支えるコア技術が、自転車のリアルタイム位置情報を把握するセンサー、蓄積されたデータを処理するIoTプラットフォーム、そして利用時に安全かつ瞬時に開閉制御を行う「スマートロック(スマートキー)」のシステムである。中国通信機器最大手のHuawei(ファーウェイ)は、ofoのインフラプラットフォームおよびスマートロック技術を全面的に支援している。

    ofoの従来型スマートロックは2G(第2世代移動通信)ネットワークを利用していたが、この方式では通信モジュールの消費電力が大きく、2〜3ヶ月に一度は手作業による電池交換が必要になるという保守管理上の課題があった。また、都市のビル影や地下などでの電波の到達性にも難があった。これらの課題を解決するため、ofoはHuaweiと共同で、次世代の「NB-IoT(NarrowBand IoT)」チップセットを用いたスマートロックを開発した。

    NB-IoTは、超低消費電力と広域カバーを特徴とするセルラーIoT規格である。単3電池2本で最長10年間稼働できるとされるNB-IoT技術をスマートロックに応用した結果、電池交換なしで2〜3年間の運用が可能になった。この2〜3年という期間は、ちょうど過酷な屋外環境にさらされるシェアサイクルの車体寿命と一致しており、稼働期間中に一度も電池メンテナンスを行うことなく運用し続けられることを意味する。

    また、誰もが触れられる街頭に放置されるシェアサイクルにおいて、セキュリティ対策は死活問題である。悪意ある第三者によるスマートロックのハッキングや偽装開錠に対抗するため、HuaweiのNB-IoTチップセットは独立したセキュリティ暗号化専用コア(セキュアエレメント)を内蔵し、不正アクセスや信号傍受を防御している。

    HuaweiはすでにこのNB-IoTチップセットを月間100万個ペースで量産する体制を整えており、ofoのグローバルな供給体制を支えている。高効率なIoTネットワークの構築により人々の精緻な移動軌跡(ビッグデータ)を蓄積できるようになったofoは、これらのデータ分析を基に、都市計画の支援や配送効率化など、次なるビジネスモデルへの応用を模索している。

    (※関連する業界動向として、実店舗のデジタル連携によるECや物流需要の急増が挙げられる。日本国内の宅配便取扱個数はこの10年間で8億個増加し、2016年には40億個の大台を突破した。人手不足が深刻化する中で、物流業界においてもこうしたIoTやビッグデータを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)が急がれており、2025年までにグローバルで最大1.9兆ドル(約217兆円)もの経済価値を生むと予測されている。)

    +1
    リンクをコピーしました
    ✓

    執筆・編集:中国テック番犬 編集部

    孔明合同会社(KongMing LLC)/ 先端技術リサーチチーム
    10年の取材実績

    中国決済黎明期から10年以上の取材実績を持つ金融DX実務家、元IBMのエンタープライズITアーキテクト、外資系戦略コンサルティングファーム出身のビジネスアナリスト、およびAI・先端テックスタートアップ陣によって構成される専門リサーチ集団。現地の公式発表・法定開示・登記・特許・学術論文を直接精査し、日本の産業界へ向けて構造的で偏りのない客観インサイトを発信しています。

    コメント

    ...
    コメントを読み込んでいます...

    コメントを投稿する

    ※ メールアドレスは公開されません。

    💡 Googleでログインすると、お名前・メールの入力と認証コードが不要になります。