スタンダードチャータード銀行がモバイル決済サービス「WeChat Pay(微信支付)」との連携を開始したと発表しました。ウリィ銀行、ハナ銀行、東亜銀行、恒生銀行(ハンセン銀行)などの中国法人に続き、外資系銀行も続々とWeChat Payのエコシステムへ参画しています。これにより、伝統的な商業銀行と、新興のネット金融事業者という2大陣営による市場シェア争いは新たな局面を迎えています。
伝統的銀行とモバイル決済の融合
スタンダードチャータード銀行のクレジットカード保有者は、WeChat Payのアカウントにカードを紐付けることで、日々のショッピングやオンラインでの公共料金支払い、教育コンテンツのオンライン決済など、WeChatのエコシステム内で提供される多種多様なサービスをスムーズに利用できるようになります。
同行の中国法人リテール部門の朱亜明取締役社長は、「中国におけるモバイル決済の発展スピードは驚異的であり、世界の金融消費モデルを再定義しつつある。テンセントのような先進的なテクノロジー企業と協力することで、中国の金融イノベーションがもたらす恩恵を、グローバルな顧客層に提供していきたい」と期待を寄せました。
ネット金融企業との提携で進む「金融の民主化」
中国の伝統的銀行と、大手テック企業傘下のネット金融事業者とのアライアンスは急速に深化しています。2017年6月には、EC大手「京東(JD.com)」傘下の京東金融が華夏銀行や上海銀行などと提携し、同社の消費者信用サービス「白条(Baitiao)」ブランドのクレジットカードをローンチ。続く7月には、リテール分野に強みを持つ招商銀行が、京東金融の個人与信スコア「小白信用」と連携した提携カードを発行しました。
中央財経大学金融学院の郭田勇教授は、「伝統的な金融機関は、金利の自由化による利ざや縮小と、インターネット金融による決済・預金ビジネスの浸食により、抜本的なビジネスモデル転換を迫られている。独自の強力なデータと顧客接点を持つネット金融企業とアライアンスを組むことで、それぞれの強みを相互補完し、急速に変化する顧客ニーズへ迅速に対応しようとしている」と分析します。
当時、欧米や日本ではクレジットカードやデビットカードを基本とした銀行決済ネットワークが確固たる地位を築いていましたが、中国では銀行口座や銀聯カード(UnionPay)をスキップし、WeChat PayやAlipayといったサードパーティ決済サービスが直接金融インフラ化しました。この急速な「金融のアンバンドリング」に対し、外資系銀行を含む伝統的金融機関は、自らが決済のフロントエンドを担うのを諦め、インフラの接続レイヤーとして機能することで生き残りを図る戦略へとシフトせざるを得ない状況となっていました。
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