総合ディスカウント大手のドン・キホーテは、国内の37店舗において訪日中国人観光客向けのモバイル決済サービス「WeChat Pay(ウィーチャットペイ/微信支付)」への一斉対応を開始しました。同年にオープンした「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」では、テンセントと共同でサービス開始を記念したセレモニーが開催されました。
これまで日本の主要店舗や一部の空港などでWeChat Payの導入が進んできましたが、今回のドン・キホーテの取り組みを皮切りに、開発元のテンセント(騰訊)は中国人観光客がよく訪れるエリアの主要店舗にフォーカスし、WeChat Payの加盟店を一気に拡大するマーケティング施策「WE Plan」を本格始動しました。
ドン・キホーテでは、渋谷本店や新宿東口店、大阪の道頓堀御堂筋店など、特に中国人観光客の利用が多い一部店舗を「WeChat Pay旗艦店」として位置づけています。この旗艦店制度は、テンセントがWeChat(微信)アプリ内で店舗情報を優先的にリコメンドし、店舗側が独自の限定デジタルクーポンやキャンペーン情報を配信して送客効果を高める仕組みです。
ドン・キホーテはすでに2008年頃からインバウンド向けの決済インフラをいち早く整備しており、これまでに銀聯(UnionPay)カードやアリババグループの「Alipay(アリペイ/支付宝)」などを先んじて導入してきました。
今回、さらに「WeChat Pay」を追加する背景には、単なる決済手段の拡充に留まらない極めて強力な「CRM(顧客関係管理)」効果があります。中国におけるWeChatは、日本の「LINE」のようなコミュニケーションインフラとして完全に浸透しています。
店舗側にとっての最大のメリットは、レジで顧客がWeChat Payで支払うと、自動的にドン・キホーテのWeChat公式アカウントがユーザーのスマートフォンにフォローされる点です。これにより、旅行者が中国に帰国したあとでも、公式アカウントを通じて日本の新商品情報や限定クーポンの通知を送ることができ、顧客との継続的なエンゲージメントを構築できます。
さらに、ドン・キホーテの公式アカウントから自社の越境EC(電子商取引)サイトへ直接誘導する導線を確保することで、「来店した観光客をコストゼロでECの定期購買者へ移行させる」という、リアル店舗からオンラインECへのシームレスなリピート循環が完成します。
この発表と並行して、テンセントは海外店舗が決済機能を迅速に導入するための加盟店支援プログラム「WE Plan」と、アクワイアラー(決済代行業者)向けの海外オープンプラットフォームを発表しました。これにより、オンラインでの審査手続きが簡素化され、店頭での販促ステッカーやクーポンの提供が容易になります。
テンセントのWeChat Pay国際事業責任者である殷潔(Yin Jie)氏は、中国人が多く渡航する日本、台湾、香港、さらに今後はオーストラリアなどの潜在的な決済インフラ需要へ注力する方針を示す一方、日本国内の居住者向けサービス(ローカル決済)の展開については、「現地市場のニーズを見極めながら慎重に検討していく」と語りました。
(情報源:ケータイ Watch)
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