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    Alipayの余額宝、メガバンクに迫る資産23兆円へ急拡大

    Alipayの余額宝(ユエバオ)が、2017年上半期に資産規模1.43兆元(約23.8兆円)を突破。高い利回りと即時引出可能な利便性を武器に、大手リテール銀行の預金額を抜き去り国有四大銀行へ迫るMMF商品へ急成長した背景と、当局の規制強化の動向を解説。

    Alipayの余額宝、メガバンクに迫る資産23兆円へ急拡大

    世界最大規模のAlipay(支付宝)専用マネー・マーケット・ファンド(MMF)商品である「余額宝(Yue’bao、ユエバオ)」の急成長が、世界の金融業界から高い注目を集めている。余額宝は2017年に入り月平均10%という驚異的なペースで預かり資産を増やしており、すでに中堅トップクラスの商業銀行である招商銀行を上回った。さらに国有四大商業銀行の預金規模に肉薄する勢いを見せており、金融市場の安定を危惧する規制当局も本格的な監視に乗り出している。

    中国のEC最大手アリババグループ(淘宝網や天猫などを運営)は、その黎明期において、買い手と売り手の取引の安全性を保証するためにエスクロー方式の資金プール口座を開設した。これがアリババ発展の要となり、現在の日本のフリマアプリ(メルカリ等)でも標準的な取引形態となっている。

    その後、このエスクロー資金プールの管理機能は関連会社のアント・フィナンシャル(現アントグループ)へと移管され、決済サービス「Alipay」へと進化した。現在、Alipayは中国国内のモバイル決済市場で過半数のシェアを握る巨大インフラとなっている。

    さらにAlipayは、ユーザーがウォレット内に預けている決済用残高を、スマートフォン上の簡単な操作でいつでも即座に金融商品「余額宝」へ移転できるようにした。これにより、残高をただ置いておく代わりに、年率換算で3〜4%にのぼる高い利息を毎日得ることが可能となった。銀行の定期預金のような最低預入金額や預入期間の制限がなく、いつでも決済や現金引き出しに使える利便性と高い金利が相まって、余額宝の資産規模は爆発的に拡大し続けた。

    余額宝は、アント・フィナンシャル傘下の天弘基金(Tianhong Asset Management)が運用する「天弘余額宝貨幣市場基金」によって管理されている。2017年上半期の締めくくりとなる6月30日時点で、その運用資産総額は1兆4,318億500万元(当時約23兆8,000億円)へと膨れ上がった。同年3月末時点の1兆1,400億元からわずか3カ月で急増した形となり、この異常な拡大ペースを抑えるため、規制当局は5月に投資上限額の引き下げを求める異例の要請を行ったと報じられている。

    中国メディアが今回比較対象としたのは、国内主要銀行の個人向け普通預金残高である。現地の小見出しには「余額宝、招商銀行を秒殺!」とセンセーショナルに報じられた。招商銀行(China Merchants Bank)は中国でも屈指の先進的リテールバンクであり、個人預金の獲得能力には定評がある。しかし、その招商銀行の2016年末時点の個人普通預金残高は9,516億1,500万元であり、余額宝はこれを完全に追い抜いている。そして現在、国有四大商業銀行の背中をも捉えつつあるのだ。

    中国における銀行の個人普通預金残高トップは中国農業銀行で、4兆2,318億8,800万元に達する。以下、中国工商銀行(3兆4,405億8,100万元)、中国建設銀行(2兆9,861億900万元)、中国銀行(1兆6,329億8,900万元)と続く。現在の余額宝の成長スピードを考慮すれば、四大行の第4位である中国銀行の預金規模に追いつくのは時間の問題とされている。なお、2017年7月時点における国有四大銀行の1年定期預金金利は1.75%、普通預金金利は0.3%で横並び状態であり、余額宝の利回りの高さが際立っている。

    利便性と利回りの圧倒的な差に加え、専門家は余額宝急拡大の外部要因と内部要因を以下のように分析している。

    • 外部要因:巨大なアリババ経済圏(エコシステム)に組み込まれている優位性を最大限に活かし、モバイルネット時代における個人の小口資産運用の潜在需要を完全に先取りした。また、政府の金融引き締め策により不動産や株式市場への投資熱が冷め込む中、ローリスクで確実な貯蓄型金融商品へ個人の余剰資金が一気に流入した。
    • 内部要因:余額宝は株式などのハイリスク商品には投資せず、国債や金融債、銀行定期預金などの固定金利資産(債券等)を中心に安定的かつ慎重な運用を行っている。これにより「極めて安全である(ローリスク)」というブランドイメージを確立しつつ、アリババブランドへの信頼感から高い安心感を与えることに成功している。

    これほどの資金集中を受け、国家金融監督当局はマネー・マーケット・ファンド(MMF)の突発的な解約(取り付け騒ぎ)に対する流動性リスク管理を強化するよう指導を強めている。当局は流動性を確保するため、余額宝における個人の最大投資上限額を、従来の100万元から段階的に引き下げ、最終的に25万元(約400万円)程度に制限する模様だ。すでに5月には50万元への引き下げが実施されたばかりだが、さらなる引き締めを行うことで特定の巨大ファンドへの資金集中を排除し、金融システム全体のシステミックリスクを防ぐ方針だ。この規制強化に対し、プラットフォーム側がどのような次の一手を打つのかが当面の注目点となっている。

    情報源:今日頭条(Toutiao)、ZUU

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