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    日本人が誤解しがちな中国モバイル決済とIT社会の圧倒的リアル

    現地を訪れる人が驚く、中国IT社会の圧倒的な進化とモバイル決済の普及度を考察。現金拒否が日常化する北京や上海のキャッシュレス事情、急成長したシェアサイクルの背景、新しい技術を貪欲に取り入れる中国の国民性とイノベーションへの許容度について解説します。

    日本人が誤解しがちな中国モバイル決済とIT社会の圧倒的リアル

    元記事:RBBTodayコラム

    突然だが、皆さんは中国に行ったことがあるだろうか。

    おそらく、行ったことがある方と行ったことがない方の間で、これほど評価が大きく分かれる国は他にないのではないかと思う。行ったことのない方にとっては、日本のメディアの影響からか「一党独裁の社会主義国であり、国内では情報の自由がなく、コピー製品が溢れている」というネガティブな印象が強いかもしれない。もちろん、地方都市や一部の地域にはまだそうした側面が残っているのは事実だが、上海や北京などの大都市圏に限って言えば、その固定観念はすでに現状を捉えていない。

    実際、筆者は年に数回、北京や上海を訪れる機会があるが、そこは日本の大都市をも凌駕するほどの高層ビル群が建ち並び、世界でも有数のIT先進社会が形成されている。同じアジアでありながら、そのスケールの大きさとダイナミズムは、まるでアメリカのシリコンバレーやニューエコノミー都市のような勢いを感じさせる。

    中国で最もメジャーな対話アプリといえば、「WeChat(微信)」だ。このアプリは中国の老若男女を問わず、スマートフォンを持つほぼすべての国民に浸透している。さらに、このアプリの機能はメッセージの送受信にとどまらず、社会の基盤として機能している。

    なかでも日本人が最も驚くのは、中国社会から「現金」が急速に消え去っているという事実だ。今や中国の都市部では、支払いで高額紙幣を出せば、コンビニのレジであっても偽札感知器(チェッカー)を通されて警戒される。それどころか、百貨店や大手スーパーのフードコート、個人商店にいたるまで、「現金支払いはお断り」とされるケースも珍しくない。仮に現金が使える場所であっても、お釣りの用意がないため嫌な顔をされるのが実情だ。そこで生活に不可欠な決済インフラとなっているのが、WeChatの決済機能である「WeChat Pay(微信支付)」と、アリババグループの「Alipay(支付宝)」である。

    日本でもLINEが「LINE Pay」を展開し、様々なモバイル決済サービスが立ち上がりつつあるが、AlipayとWeChat Payが国民的決済インフラとして生活の隅々まで行き渡っている中国と比較すると、当時の日本市場とは雲泥の差があると言わざるを得ない。

    では、なぜ日中の電子決済サービスの間でこれほどの差がついてしまったのだろうか。スマートフォンの普及や店舗の端末導入といったハードウェア的な障壁は、両国で大きな違いはない。店舗のPOS改修費用はかかるものの、現金の輸送や集計、盗難リスクといった「現金管理コスト」の削減効果を考慮すれば、加盟店にとっても十分に投資回収は可能なはずだ。

    筆者は、その本質的な違いはシステムの問題ではなく、人々が新しい変化を「望むか、望まないか」という国民性の違いにあると考えている。日本では新しいサービスや技術が登場すると、まず「安全性は大丈夫か」「個人情報は漏洩しないか」といった懐疑的な目で見られがちだ。「他の人が使って安全だと分かってから使おう」という様子見の姿勢をとる人が多く、普及に時間がかかる。

    しかし、中国の消費者は全く異なる。新しい便利なサービスが登場すれば、我先にとダウンロードして使い始め、それをSNSで発信して楽しむ。ここ数年で爆発的に普及したシェアサイクル(共有自転車)もその典型的な事例だ。都市部では、オレンジやイエローなど色とりどりの自転車が街中のいたる所に置かれ、市民の足となっている。

    中国の都市部は日本の大都市ほど地下鉄網がくまなく張り巡らされているわけではない。さらに交通渋滞が激しく、タクシーも捕まりにくい時間帯が多い。そのため、最寄り駅から目的地までの「ラストワンマイル」を移動する際、街中で手軽に見つけられるシェアサイクルは極めて合理的で便利な手段だ。このシェアサイクルも、WeChat PayやAlipayとアプリ連携しており、コードをスキャンするだけで数秒で利用開始できる。このサービスが立ち上がってからまだ数年しか経っていないにもかかわらず、利用者は若者に限らずシニア層にまで広がっている。新しい技術が「便利である」と判断すれば、年齢に関係なく積極的にライフスタイルへ取り入れる貪欲さこそが、中国の急速なIT進化を力強く支えているのだ。

    中国におけるこうした社会の変化は、ほんの2〜3年という驚異的なスピードで進んでいる。日本では新しいサービスが海外から入ってくると、既存の産業保護や各種規制によって参入が阻まれたり骨抜きにされたりすることが多い。対して中国では、まずサービスを走らせ、市場のフィードバックを得ながらルールを後から整備していくアプローチが取られる。中国を訪れたことがないITビジネス関係者や技術好きの人には、ぜひ一度現地を訪れ、その圧倒的な変化と明るいエネルギーを体感してほしい。イノベーションが生まれにくい環境にある日本のITファンにとって、それは大きな知的刺激となるはずだ。

    情報源:RBBTodayモバイルコラム

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