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    中国モバイル決済市場でWeChat PayがAlipayを猛追

    中国のモバイル決済市場は5.5兆ドル規模に達し米国の50倍超。アリババが提供する先行のAlipayに対し、テンセントのWeChat Payが膨大なSNSユーザー基盤を武器にシェア37%まで急拡大。加盟店獲得競争も激化し、両雄が覇権を争う中国モバイル決済の最前線をレポート。

    中国モバイル決済市場でWeChat PayがAlipayを猛追

    中国のモバイル電子決済サービス市場で、インターネットサービス大手のテンセント(騰訊控股)が旋風を巻き起こしている。かつては牙城を崩すのは不可能と見られていた先行ライバルのアリババグループ(アリババ集団)のシェアを急速に奪う勢いだ。中国のモバイル決済市場は当時5.5兆ドル(約610兆円)規模に達し、すでに米国の50倍以上の巨大市場へと成長を遂げていた。

    アリババは2004年、自社ECサイト「淘宝網(タオバオ)」におけるオンライン決済の信頼性を担保するため、エスクロー型決済サービス「Alipay(支付宝)」を立ち上げた。以来、Alipayが中国のモバイル決済市場を独占してきた。しかし、同サービスのシェアが2016年末までにほぼ半数に低下した一方、テンセントのWeChat Pay(微信支付)のシェアは全体の3分の1以上にまで急上昇した。

    調査会社アナリシスのデータによると、2015年第3四半期に71%を誇ったAlipayのシェアは、2016年第4四半期には54%に低下。一方、同期間にWeChat Payのシェアは16%から37%へと倍増している。

    米アップルが2016年2月に中国市場で鳴り物入りで開始した「Apple Pay」は、中国の主要電子決済ランキングでトップ10圏外と、現地の巨大エコシステムを前に苦戦を強いられた。

    中国がモバイル決済の分野でグローバルトップに躍り出た背景には、ECの爆発的な普及に加え、クレジットカードなどの個人向け金融インフラの整備が遅れていた「リープフロッグ(カエル跳び)現象」がある。調査会社アイリサーチによると、2016年のモバイル決済取引額は5.5兆ドルに達し、米国の取引額1,120億ドル(フォレスターリサーチ調べ)の50倍もの規模に相当する。

    アクティブユーザー数8億9,000万人を抱える対話アプリ「WeChat(微信)」を展開するテンセントは、アリババに10年近く遅れて決済分野に本格参入した。現在、両社は顧客や加盟店の囲い込みに向けて巨額のキャンペーン費用を投じ、激しいシェア争いを繰り広げている。

    業界の専門家は、テンセントが急成長を遂げた要因として、WeChatの圧倒的な日常的利用頻度と、決済サービスを一社に依存したくない加盟店(店舗側)の心理を指摘する。

    「アリババは当初、タオバオや『天猫(Tmall)』などの巨大ECプラットフォームの優位性を活かし、Alipayを中国の標準的なデジタルウォレットとして定着させることに成功した」と、マッキンゼー・アンド・カンパニー香港オフィスのパートナーであるジェフ・ガルビン氏は分析する。

    「しかし現在、中国のネットユーザーはWeChatというエコシステム内で過ごす時間が極めて長くなっている。個人間送金(P2P)やアプリ内決済を通じてWeChatウォレットへ日常的にお金をチャージするようになり、Alipayの最も強力な対抗馬となった」と同氏は付け加える。

    WeChat Payは実店舗の開拓も加速させており、スターバックスとの提携により、中国国内にある約2,600店舗のほぼすべてでWeChat Payによる支払いを可能にした(ただし、浙江省杭州市にあるアリババ本社内の店舗は例外である)。

    これに対しアリババも反撃を試み、Alipayを採用する海外加盟店11万店舗を含む実店舗ネットワークの強化を急いでいる。アリババの発表によると、オンライン上のタオバオ加盟店1,000万店舗に加え、すでにオフラインの実店舗200万店舗と契約を完了しているという。

    情報源:FT、日経

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