中国で圧倒的なシェアを誇るスーパーアプリ「WeChat(ウィーチャット)」は、iPhoneユーザー向けに提供していた「公式アカウント(日本のLINE公式アカウントやブログ有料購読に近い仕組み)」のクリエイターに対する投げ銭(寄付・チップ)機能を停止した。これは、App Storeのアプリ内課金(IAP)に関するAppleのガイドラインに準拠するための措置だという。
従来、WeChatの公式アカウントに投稿されたコンテンツに対し、読者が記事の末尾にあるボタンを通じてWeChat Pay(ウィーチャット・ペイ)で直接支援金を支払う機能が広く利用されていた。しかし、Appleはアプリ開発者がiOSのエコシステム外の決済手段へユーザーを誘導すること(ボタンや外部リンクの設置など)を禁じている。
Tencent(テンセント)はAppleと数ヶ月にわたり協議を重ねたが、2016年6月に策定された新たなApp Store審査ガイドラインを遵守するため、「遺憾ながら」iOS版アプリでの本機能を停止せざるを得なくなったと発表した。
これに対し、Appleは独自のアプリ内課金システム(手数料30%が適用される仕組み)を利用する形であれば、WeChatが引き続き投げ銭機能を提供することは可能であると指摘している。Tencentは一時、QRコードを提示してユーザーに別ルートでの決済を促す代替策も示唆していたが、この方法もAppleの規約に抵触する。
Tencentはモバイル決済において巨大な影響力を持っており、調査会社アナリシス・インターナショナルによると、2016年9月末時点で同社の決済システムは中国のモバイル決済市場全体の約38%を占めている。今回の件は、プラットフォーマーであるAppleのグローバル規約と、中国独自のデジタルエコシステムおよび決済手段が衝突した象徴的な事例となった。
情報源:WeChat Blog、Bloomberg
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