
「先日発生したスーパー強盗事件で、犯人は3店舗を襲って現金を奪ったものの、手に入ったのは合計でわずか1,800元しかなかった。店側も客もWeChat PayやAlipay、クレジットカードを利用しているため、店舗に現金はほとんど残っていなかったのだ」
この強盗事件は、結果としてキャッシュレス社会の「無料のプロモーション広告」となった。4月上旬にアリババの馬雲(ジャック・マー)会長が講演で言及したこのエピソードは、キャッシュレスアライアンスの発足式典において、アント・フィナンシャル(現・アントグループ)の井賢棟(エリック・ジン)CEOの口からも改めて引用された。
4月18日、中国屈指の「モバイル決済都市」として知られる浙江省杭州市において、アント・フィナンシャルが主導する「キャッシュレスアライアンス(無現金聯盟)」が結成された。アライアンスは、今後5年以内に中国全土でキャッシュレス社会を実現することを目指すとともに、世界100カ国をカバーし、3,000万以上の加盟メンバーを傘下に収める計画を策定した。現金決済から非現金決済への移行をグローバル規模で促進するため、アント・フィナンシャルは毎年少なくとも30億元規模の予算を投入する予定だ。
井CEOは、「キャッシュレス社会の構築は、企業、政府、そして消費者に計り知れない利便性をもたらす第一歩である。キャッシュレス化が進むことで、より多くの人々が高度な金融サービスの恩恵を受けられるようになり、ビジネスはスマート化され、より効率的な社会システムが構築される」と提唱した。前年における中国のモバイル決済市場規模は5.5兆ドルに達しており、米国の50倍規模に拡大している。「中国が世界をリードし、共にキャッシュレス社会へ進もう」と強く呼びかけた。
アライアンスの発足式典には、カルフール中国、北京首都国際空港、華強電子世界、シェアサイクル大手のofo、広州婦女児童医療センターなど、多様な分野の企業・機関15社が初期メンバーとして参加した。アント・フィナンシャルはこのプログラムを世界中の企業や公的団体に開放し、Alipayアプリを通じて申請を受け付けると発表している。
【解説】当時、中国はモバイル決済の普及率において他国を圧倒しており、この「キャッシュレスアライアンス」の結成は、単なる決済手段の提供から「キャッシュレス生態系(エコシステム)」の覇権をグローバルに広げるための戦略的同盟であった。参加メンバーに小売、交通、医療、最先端のモビリティ(シェアサイクル)などが名を連ねている点からも、生活のあらゆるシーンから現金を排除し、データ主導型社会を完成させようとする当時の中国メガテック企業の強烈なビジョンが伺える。
情報源: 澎湃新聞(The Paper)、ChinesePayment翻訳編集
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