中国のモバイル決済大手であるアリババ(Alibaba)とテンセント(Tencent)は、今年の春節(旧正月)連休期間において、「電子紅包(モバイルお年玉)」を巡るキャンペーン合戦にはそれほど注力しないと事前に表明していた。しかし、スマートフォンを使ってお年玉を送り合ったり争奪したりする光景は、すでに中国の年越しにおける「新風俗」として定着しており、結果として両社の間では今年も熱い「電子お年玉大戦争」が繰り広げられた。
今年の春節期間中、お年玉キャンペーンに参加したユーザー数や、実際にやり取りされたトランザクション数・送金総額は、いずれも前年を大きく上回る結果となった。こうした現状に対し、中国の金融テック業界関係者は次のように分析している。 「春節期間に過熱する電子お年玉の争奪戦を見れば、モバイル決済が中国国民の日常生活に深く根を下ろし、最も標準的なインフラとして利用されていることが分かる。あらゆるオンライン・オフラインサービスの強力なゲートウェイ(入り口)として、モバイル決済の重要性は今後も揺るぎない。アリババとテンセントは、今後もこの分野で主導権を握るために激しい火花を散らすだろう」
テンセントが運営するメガSNS「WeChat(微信)」が公表した公式データによると、今年の旧暦大晦日(1月27日)の1日だけで、全国で送受信されたWeChatお年玉の件数は142億件に達した。午前0時の年越しの瞬間には送受信量がピークを迎え、1秒あたりに76万件のお年玉がやり取りされたという。前年(2016年)の大晦日の実績は80億8,000万件、ピーク時の1秒あたりの送受信量が40万9,000件であったことと比較すると、今年のWeChat決済データの伸びは驚異的である。
また、同じくテンセントが若年層向けに展開する「QQ」のデータによると、位置情報サービス(LBS)と拡張現実(AR)技術を組み合わせたお年玉イベント「天降紅包(天から降るお年玉)」や「刷一刷紅包」に参加したユーザー数は3億4,200万人に達し、現金お年玉や加盟店の割引クーポンなどのギフトが累計37億7,700万件も獲得された。前年の参加ユーザー数3億8,000万人からさらにアクティブ率を高め、エンターテインメントとしての規模を拡大している。
業界の専門家は、「今年の春節で熱を帯びたお年玉の獲得合戦は、オンライン上の決済機能の枠を超え、アリババとテンセントによるオフラインの実店舗や生活シーンの囲い込み競争がいよいよ本番を迎えたことを示している」と指摘する。
今年の両社の取り組みを見ると、示し合わせたかのように「AR技術」と「LBS(位置情報)」を掛け合わせた体験型のアプローチを採用している。これは、ゲーム感覚でお年玉を探させることでユーザーをオフラインの特定店舗や商業施設へと実際に誘導し、実店舗での購買体験を創出すると同時に、自社決済サービスの利用シーンを拡大する狙いがある。
今回のキャンペーンにより、ユーザーがLBSやARを介したリアル店舗との連携体験を好意的に受け入れたことが証明された。今後、両社は位置情報、AR、決済サービスをさらに融合させた高付加価値な決済エコシステムを構築し、店舗向けの集客ソリューションとしての競争力を高めていくと予想される。
情報源:経済参考報
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