香港初となるデジタル決済ライセンスが、Alipayなど5つの事業者に交付されました。「Stored Value Facilities(SVF:保存型価値施設)ライセンス」と呼ばれるこの決済業務許可書は、2015年11月に香港で導入された新しい金融規制法案に従い、香港金融管理局(HKMA)による厳格な審査を通過した企業のみが取得できるものです。
中国本土に追随する形でキャッシュレス化・Eコマース市場が立ち上がり始めた香港において、中国本土の大手テック企業と香港現地企業の間で、モバイル決済の覇権をかけた熾烈な戦いが幕を開けようとしています。
SVFとは、プリペイド式などに代表される「価値保存型」のデジタル決済手段を指します。非接触ICカードやスマートフォンのアプリケーションにデジタル通貨をチャージし、オフラインおよびオンラインでの決済処理を行う仕組みです。これに対し、従来のインターネットバンキングやクレジットカード決済などは、銀行ネットワークに直接アクセスする「ネットワークアクセス型」に分類されます。
新規制の導入に伴い、2017年11月末以降に香港内で保存型デジタル決済サービスを提供するすべての事業者は、このSVFライセンスの取得が義務付けられます。今回の第一次審査でいち早く取得に成功したのは、中国本土のモバイル決済市場で圧倒的なシェアを握るAlipay(アリババ)とWeChat Pay(テンセント)、そして香港現地で強固なインフラを持つ「O! ePay」(運営:オクトパス・カード社)、「Tap & Go」(運営:香港テレコム)、「TNG Wallet」(運営:TNG)の計5社です。
中国本土ではAlipayとWeChat Payの二大巨頭が市場を二分していますが、香港市場においては独自の生活様式や文化的な要因から、現地の決済アプリである「TNG Wallet」が本命と見られてきました。2013年からデジタルウォレットサービスを開始しているTNGは、タクシー決済などの移動インフラへのスピーディーな導入で支持を集め、多くの香港市民に利用されている代表的なローカル決済ブランドです。
また、香港最大の通信キャリアであるHKT(香港テレコム)が運営する「Tap & Go」は、巨大なモバイル顧客基盤を武器に市場参入を進めています。一方で、香港の交通インフラ決済として不動の地位を築いているICカード「オクトパス(八達通)」は、主要な公共交通機関や自動販売機など生活のあらゆる場面に定着しており、そのデジタル版である「O! ePay」も極めて高いポテンシャルを秘めています。
多様なチャージ方法やP2P送金機能などで各社が差別化を図る中、Alipayは香港ユーザーの囲い込みを狙い、グループのECプラットフォーム「淘宝網(タオバオ)」での買い物において、香港の銀行経由でチャージする際の手数料を1ヶ月間無料にする大規模キャンペーンを打ち出しました。ライセンスの取得完了を受け、香港の顧客獲得に向けた争奪戦はさらに激化しています。
(情報源:FinTech online)
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