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    中国決済の覇者「アリペイ」とは?エスクローから世界展開へ

    中国のオンライン決済市場で圧倒的シェアを誇る「アリペイ(Alipay)」の基礎知識。淘宝網での取引を支えたエスクロー決済の仕組みから、急速に普及したスマートフォンでのQRコード決済、反映する日本を含めたグローバル展開や銀聯・Apple Payとの競争構図までを詳しく解説します。

    中国決済の覇者「アリペイ」とは?エスクローから世界展開へ

    「アリペイ(Alipay/支付宝)」は、中国のデジタル決済およびサードパーティ決済市場で長年にわたり圧倒的なシェアを維持し、C2C(個人間)、B2C(企業・個人間)、B2B(企業間)のあらゆるオンライン取引を網羅する巨大なインフラです。

    アリペイが中国で爆発的に普及した背景には、2004年に導入された「エスクロー決済(信託決済)」があります。初期の中国EC市場では「支払っても商品が届かない」「届いた商品が偽物である」といった売り手と買い手の間の信頼関係(社会的信用)の欠如が課題でした。アリペイが購入者の支払った代金を一時的に預かり、商品が手元に届いて確認された後に店側へ入金される仕組みを導入したことで、取引の安全性が劇的に向上し、ECの普及を強力に後押ししました。

    グループ内取引から日常生活のインフラへ

    アリペイは当初、アリババ(Alibaba)グループ傘下のC2Cマーケットプレイス「淘宝網(Taobao)」およびB2Cモール「天猫(Tmall)」の決済手段として成長しました。

    しかし、現在のアリペイはアリババグループ内の取引にとどまらず、ゲーム、航空券・旅行、保険、教育、さらには公共料金(電気・水・ガス)や携帯電話のチャージといった日常生活のあらゆるシーンに浸透しています。提携する金融機関は中国国内で170を超え、加盟店数は50万社を突破、グループ外での取引高が全体の約6割を占めるまでに成長しました。中国のモバイル決済市場においては、テンセントのWeChat Pay(微信支付)と市場を二分する存在です。

    「アリペイ国際決済」を通じたグローバル展開

    アリペイは中国国内の成功を背景に、2007年から海外向けの「Alipay国際決済(Alipay Cross-border Payment)」を開始しました。これにより、海外のECサイトがアリペイを導入することで、中国の消費者が直接自国の通貨(人民元)で決済を行い、店舗側は日本円や米ドルなどの現地通貨で受け取ることができる越境ECの仕組みが確立されました。

    対応する主要決済通貨は日本円、米ドル、ユーロ、ポンドなどを含む10種類以上に及びます。日本国内でも主要な決済代行会社がこぞって接続環境を整備し、ヤフーの「Yahoo!ショッピング」や楽天の「楽天市場(Rakuten Global Market)」などが海外販売向けにアリペイを導入しました。

    リアル店舗における「QRコード決済」の普及

    オンラインで強固な地位を築いたアリペイは、スマートフォンのアプリ「Alipay Wallet(支付宝銭包)」を通じて、リアルの実店舗決済へ本格的に進出しました。店舗側が提示する、あるいはユーザー側が提示するQRコードをカメラで読み取るだけのシンプルな方式は、専用の非接触リーダー(FeliCa等)が不要なため、小規模な店舗でも低コストで導入が可能です。

    セキュリティ面では、表示されたバーコードやQRコードが数分で無効になるワンタイム仕様を採用し、不正利用のリスクを最小限に抑えています。

    実店舗での対面決済における1回あたりの利用上限額は、イシュア(カード発行会社)や口座の種類により異なるものの、おおむね1万〜5万元程度(当時のレートで約16万〜82万円)に設定されており、観光客による高額な買い物にも十分対応できる仕様となっています。

    日本のインバウンド市場への進出と業界の勢力図

    日本国内においても、ビックカメラ、パルコ、大丸松坂屋、近鉄百貨店、ローソン、ドン・キホーテといった大手小売店が、訪日中国人観光客のインバウンド消費を獲得するためにアリペイを相次いで導入しました。

    中国国内では、アリペイやWeChat Payといったモバイル決済の台頭に対し、伝統的な銀行業界や決済ネットワークである「中国銀聯(UnionPay)」が危機感を強めました。ネット決済で出遅れた銀聯は、非接触決済ブランド「Quick Pass(閃付)」を立ち上げ、Appleの「Apple Pay」やSamsungの「Samsung Pay」のインフラと連携することで、巻き返しを図っています。

    日本のようにクレジットカードや独自の電子マネー(FeliCa)がすでに広く普及していた市場とは異なり、中国は「現金からクレジットカードのステップを飛び越え、一気にモバイル決済へジャンプ(リープフロッグ)」したことで、独自の極めて高度なフィンテック社会を構築するに至ったのです。


    情報源: ECzine

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