
中国最大手のオンライン決済サービス「支付宝(アリペイ、Alipay)」は、電子商取引(EC)大手アリババグループ(Alibaba)の「淘宝網(タオバオ)」向け決済インフラとして2004年に設立されました。近年は、アリババエコシステム外の外部パートナー向け決済代行のみならず、オンライン金融商品を販売する広範なウェルスマネジメントプラットフォームとしての地位を確立しつつあります。
この事業拡大に伴い、アリペイの所有構造を明確化し、資本構成を整理するための大規模な組織再編が発表されました。
親会社の再編と「阿里小微金融サービス集団」の設立
アリペイの親会社である「浙江阿里巴巴電子商務(浙江アリババ電子商務有限公司)」は、新会社「阿里小微金融サービス集団(のちのアントグループ、Ant Group)」に吸収合併されます。
再編後の新会社の株式持分は、以下のように整理される予定です。
- 戦略的投資家: 株式の60%を保有。外部の戦略的パートナーを受け入れ、金融ビジネスの社会的信頼度を高める。
- 社員・創業者: 株式の40%を保有。アリババ創業者である馬雲(ジャック・マー)氏を含む、アリババおよび小微金融サービス集団の従業員にインセンティブとして分配。
この再編に伴い、浙江アリババに対して80%の支配的持分を保有していたジャック・マー氏個人の新会社における持株比率は、最終的に**約7%**まで引き下げられることになります。
2011年の「アリペイ分離問題」と株式分配の背景
アリペイは2011年、中国政府によるサードパーティ決済事業者向けの「決済ライセンス(支付業務許可証)」を確実に取得するため、外資(米Yahoo!や日本のソフトバンク)の出資が入ったアリババグループ本体から切り離され、ジャック・マー氏が実質所有する中国国内独資会社へとスピンオフされました。
この意思決定は、アリババの主要株主であった米Yahoo!やソフトバンクとの間に激しいガバナンス紛争を引き起こしました。のちに和解合意に達したものの、株式構造の透明化と、ジャック・マー氏による独占支配懸念の払拭が急務となっていました。
アリババの広報担当者によると、今回のジャック・マー氏の出資比率大幅引き下げは、「将来的に決済事業の持分をアリババ従業員に還元・分配する」という当初の約束に沿った資本整理であるとしています。
※本記事は『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)日本語版』等の報道内容をベースに作成しています。
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