中国でモノや空間を共有する「シェアリングエコノミー(共有型経済)」が急拡大しています。中国国内で瞬く間に浸透し、グローバル展開も進む「シェア自転車」を筆頭に、ユニークなアイデアを盛り込んだ新サービスが次々と誕生しています。
書籍のシェア:大手書店による無料貸出サービス
中国の書籍販売最大手である新華発行集団は、2017年7月に傘下の合肥新華書店において「シェア書籍(共享図書)」サービスを開始しました。ユーザーはスマートフォンに専用アプリをインストールし、99元(約1700円)の保証金を預けることで、1回につき2冊まで、最長10日間無料で書籍を借りることができます。11日目以降は1日1冊につき1元(約17円)の延滞料が発生する仕組みです。
このサービスにより、読者は話題のミステリー小説などの新刊を気軽に読むことができ、書店側は新たな顧客層を実店舗へ呼び込むことに成功しています。開始からわずか半年で実施店舗は中国全国28カ所に拡大し、アプリ登録者数は25万人を突破しました。
雨傘のシェア:駅や街角での即時レンタル
最近、地下鉄の駅や商業施設の入り口を中心に設置台数が増えているのが「シェア雨傘(共享雨傘)」です。街頭の専用ラックに配置された傘は、スマホ決済アプリでQRコードを読み取って保証金を預ければ、一定時間無料で利用できます。返却期限を過ぎると自動的に追加料金が引き落とされるシステムです。
キャッシュレス決済が支える共有型ビジネスの基盤
中国でシェアリングエコノミーがこれほど急速に普及した背景には、アリペイ(Alipay)やウィーチャットペイ(WeChat Pay)といったモバイル決済が社会インフラとして極めて強固に定着している点があります。これにより、デポジットの与信管理や少額決済がシームレスに行えるため、自転車や配車、民泊だけでなく、宝飾品やモバイルバッテリーのシェアなど多種多様なサービスが容易に立ち上がりました。
2016年における中国のシェアリングエコノミーの市場規模は3.5兆元(当時のレートで約60兆円)に達し、前年比で倍増。利用者数は6億人を超えました。2017年には「共享(シェアリング)」が国内の重大流行語の一つとなり、習近平国家主席もこれを「経済成長の新たな原動力」と位置づけ、国家を挙げて育成する姿勢を示しています。
一方で、急成長に伴う過当競争や乗り捨て自転車の放置問題なども表面化しています。これを受けて、中国国家発展改革委員会などの政府部門は2017年7月、共同でシェアリングエコノミーの健全な発展に向けた指導方針を発表し、監督体制の強化と秩序あるルール作りに着手しました。利便性を活かしつつ、成長に伴う歪みをいかに抑えるかという課題は、今後同様のビジネスが普及する日本を含めた世界各国にとっても重要な示唆を含んでいます。
情報源:毎日新聞
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