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    中国シェアリングエコノミーが爆発、市場規模57兆円へ成長

    中国で自動車や自転車から、モバイルバッテリー、果ては洗濯機や傘まであらゆる製品のシェアリングサービスが急成長。市場規模は約57兆円に達し、ミレニアル世代のシェア志向とQRコードモバイル決済の普及が後押しする、中国独特のシェアエコノミーの光と影をレポートします。

    中国シェアリングエコノミーが爆発、市場規模57兆円へ成長

    現代の中国では、スマートフォンとモバイル決済さえあれば、ほぼすべての物を「シェアリング(共有)」で利用可能だ。自動車やシェアサイクルはもちろん、モバイルバッテリーや雨傘、さらには家庭用洗濯機やバスケットボールといった珍しいものまで、モバイルアプリを介した多様なサービスが次々と登場し、世界中のベンチャーキャピタルがそこに巨額の資金を投じている。

    すでに社会インフラとして大成功を収めた事例には、ライドシェア大手の「DiDi(滴滴出行)」や、大手オンライン金融プラットフォームの「Lufax(陸金所、旧Lu.com)」が挙げられる。モバイル決済が日常化した中国では、新しいシェアサービスがまさに「雨後の筍」のように生まれている。

    14億人という圧倒的な人口を抱える中国では、このシェアリング市場のスケールも桁違いに巨大だ。シェアサイクル大手であるofoやモバイク(Mobike)は、30分あたりわずか1元〜(約15セント)という超小口料金でサービスを提供し、デイリーのアクティブユーザー数はそれぞれ数千万人にのぼる。また、商業施設や駅などにスマホ用充電器の自動レンタル機を設置する深センのスタートアップ「来電(Laidian)」は、すでに国内3,000カ所以上に拠点を展開。2014年の創業以来、累計利用件数は1億件を突破したとフォーブス(Forbes)の取材に明かしている。同社は、1時間の充電あたり約1元(約15セント)の利用料を徴収している。

    中国の国家情報センター(SIC: State Information Center)が発表した統計データによると、中国国内におけるシェアリングエコノミーの市場規模は5,020億ドル(当時約57兆円)に到達。14億人の中国人のうち、少なくとも半数(約7億人)が、これまでに何らかのシェアサービスを利用した経験があると推計されている。

    投資家らもこの市場の成長性に対して非常に強気だ。ofoやモバイクなどの先行スタートアップは、サービス開始から短期間で企業価値10億ドル(約1,100億円)を超える「ユニコーン企業」へ急成長した。その株主名簿には、テンセント(騰訊控股)やアリババグループ、ロシアのDST Globalといった世界的な大手テック企業や投資ファンドが名を連ねている。

    この背景には、中国のミレニアル世代(1980年代〜1990年代生まれ)を中心とする若い消費者が、所有よりも共有(シェア)に対して極めて肯定的である点が挙げられる。調査会社ニールセンのレポートによると、「今後シェアリングサービスを利用したい」と答えた消費者の割合は、タイが84%、欧州が54%、北米が52%であったのに対し、中国は94%という圧倒的な数字を記録した。さらに、路上の屋台や個人商店でもQRコードをスキャンして瞬時に小口送金ができる「WeChat Pay(微信支付)」や「Alipay(支付宝)」の爆発的な普及が、利用時の心理的・物理的ハードルを極限まで下げている。業界のアナリストは、「当時の中国ほど、モバイル決済が国民の生活深くまで完全に浸透した国は地球上に他になかった」と指摘する。

    しかし、すべての製品がシェア化によってビジネスとして成り立つわけではない。

    たとえば、上海でスタートした雨傘のシェアサービス「E傘(E-san)」は、ユーザーから冷ややかな視線を浴びている。同サービスを利用するには最初に20元(約300円)のデポジットを支払う必要があるが、SNS上では「20元も払うくらいなら、そこらのコンビニで普通の傘を1本買った方が手っ取り早い」との意見が相次いだ。実際、GPS管理が行き届かず、開始からわずか数週間で大半の傘が持ち去られて紛失する事態にも見舞われている。

    シリコンバレーに基盤を置くベンチャーキャピタル「Gobi Partners」のパートナーは、現在の過熱するブームに対し次のように慎重な姿勢を示している。「私たちは、充電関連のスタートアップへの投資はすべて見送った。なぜなら、スマートフォンのバッテリー技術が進化して持続時間が向上すれば、このビジネスモデル自体が存在価値を失うからだ。同様に、公園でレンタルできるバスケットボールや、アパート共用の洗濯機シェアといったニッチなサービスについても、長期的なスケーラビリティを感じない」

    一方で、充電スタンドの液晶画面などを活用した「OOH(屋外デジタル広告)メディア」としての副次的な広告収入モデルなど、ハードウェアの利用料以外のマネタイズ手法に活路を見出す投資家も多い。

    様々な懐疑論や課題を孕みながらも、業界の専門家の多くは、中国のシェアリングエコノミーの将来性について楽観的だ。中国の経済成長が安定期に入り減速する中、若い世代が自動車や不動産などを無理に「所有」するのを避け、手軽な「レンタル」や「シェア」へ流れるのは時代の必然である。自転車や自動車といった移動手段から、ワーキングスペース(コワーキングオフィス)にいたるまで、中国社会のあらゆるアセットの効率化(シェア化)は今後も加速していくとみられる。

    情報源:Forbes

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