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    中国で5年以内に「キャッシュレス社会」が実現するか今後の展望

    中国で急速に進行する「キャッシュレス社会」。ネットユーザーの7割以上が「現金は不要」と回答する中、アリペイ責任者が語る「5年以内に完全移行」の現実味や、中国人民銀行のデジタル通貨政策、さらにはインドのデジタルID計画「アドハー」や決済銀行の事例から、新興国の金融デジタル化動向を解説します。

    キャッシュレス決済社会の基盤とデータ連動システムの構造図

    「キャッシュレス社会」とは、社会全体の取引において紙幣や硬貨といった物理的な現金の存在を前提とせず、デジタルな決済端末や電子マネーのみで完全に経済活動を完結させられる状態を指す。現実の経済社会におけるこの「インターネットプラス(互聯網+)」モデルの浸透は、旧来の金融秩序やビジネスの決済基盤に劇的な構造変化をもたらしつつある。

    キャッシュレス決済社会の基盤とデータ連動システムの構造図

    各種の世論調査によると、中国のモバイルネットユーザーの7割以上が、「現金はもはや生活必需品ではない」と考えていることが分かった。実際に、北京、上海、深圳などの一線都市およびそれに次ぐ二線都市といった中国の主要都市においては、キャッシュレス決済の普及が急激に進んでおり、一般消費者が日常生活の中で現金に触れる機会は著しく低下している。キャッシュレス化が未来の必然的な方向であることは広く合意されているが、いつ完全に現金不要の社会が実現するのかについては、業界内でも様々な議論が交わされている。

    中国で毎年開催される重要政治会議「全国両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)」に先立ち、第三者決済サービス大手「Alipay(アリペイ/支付宝)」の運営責任者は、「中国は今後5年以内に、完全にキャッシュレス社会へと突入するだろう」という強気な見通しを表明した。

    また、国家外貨管理局雲南省分局の楊小平局長は、「キャッシュレス決済の普及は不可避の流れだ。中央銀行である中国人民銀行(中銀)も、将来的なデジタル通貨(CBDC)の発行に向けて着実に研究を進めており、電子決済手段を国のマクロ金融政策および規制の枠組み内に段階的に組み込んでいく方針だ」と述べた。

    一方で、同様のデジタル金融変革は、他の巨大新興国であるインドでも国家主導で急速に進められている。

    インド政府は2009年、全国民のデジタル情報化を目指す国家プロジェクト「アドハー(Aadhaar)」を発足させた。これは個人の指紋や虹彩(網膜)のスキャンに基づき、すべての国民に対して固有のデジタルIDを発行するものである。2016年時点で、インド政府はすでに11億人以上の国民に対して12桁のID番号を発行した。これは世界最大かつ最も成功したバイオメトリクス個人識別プロジェクトであり、現在のインドにおけるデジタル経済の強固な土台となっている。

    インドの次の主要な課題は、これまで金融サービスから排除されていた数億人の「アンバンク層(銀行口座を持たない低所得層)」に口座を提供することであった。政府は、一般の商業銀行とは異なり、預金の受け入れと決済サービスのみに特化し、融資(貸し出し)を行わない「決済銀行(Payment Banks)」の設立を民間などの11の事業体に承認した。

    各決済銀行は国民の口座開設を促進するため、無料の生命保険が付帯する口座などを提供し、さらに政府からの各種社会福祉給付金が直接このデジタル口座に振り込まれる仕組みを整備した。決済銀行の設立開始からわずか3年足らずで、新規開設された口座数は2億7,000万を超え、預金総額は100億ドル(当時のレートで約1兆1,000億円)規模に達し、金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)の世界的モデルとなっている。

    情報源:北京晨報、日経新聞

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