
アリペイ(Alipay)は、香港市場におけるモバイル決済サービスの普及加速に向け、スタンダードチャータード銀行(渣打銀行)との提携を発表した。現地での利用拠点(フットプリント)を大幅に拡大し、決済インフラとしての浸透を狙う。
Alipayは前年に香港金融管理局(HKMA)から電子決済ライセンスを取得し、すでに現地通貨建て口座の提供を開始している。今回の提携により、香港の住民はオンラインバンキングやモバイルバンキングを通じて、より手軽に香港ドル建てAlipay口座を開設・連携できるようになる。スタンダードチャータード銀行の加盟店ネットワークでの決済が可能になるほか、銀行側がAlipayユーザーに対してスムーズな資金チャージ(調達)手段を提供する。
スタンダードチャータード銀行との協業は、Alipayに膨大な実店舗網をもたらす可能性がある。同時に、同銀行にとっては、香港を訪れる中国人観光客の旺盛なインバウンド需要を取り込む契機となる。特に、香港ドル口座を既存の人民元建て口座にリンクできない、あるいは新規口座への資金移動に課題を抱えていたユーザー層の利便性が飛躍的に向上する。
スタンダードチャータード香港のリテールバンキング部門責任者であるビッキー・コング氏は、「4億5000万人以上のアクティブユーザーを抱える世界最大級の決済プラットフォームであるAlipayとの提携により、新しい顧客層、とりわけデジタルネイティブなオンラインユーザーへのアプローチが強化される」と期待を寄せた。
香港はオクトパスカード(八達通)というICカード決済が極めて強く根付いている市場であり、当時はモバイル決済(QRコード方式)が浸透し始めたばかりの激変期であった。AlipayやテンセントのWeChat Payは、まず中国本土からの観光客向けインバウンド決済として地盤を作り、その後現地銀行との提携を通じて香港住民向けのローカル決済へとドメスティック化を進める戦略をとっていた。
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