目次 全2章 ▾ 東南アジアへの足がかり WeChat Payとのグローバル覇権争い Technodechinaなどの報道によると、中国の電子商取引(EC)の巨人アリババ (Alibaba/阿里巴巴)の金融関連会社であるAnt Financial(アント・フィナンシャル / 螞蟻金融)が、タイのフィンテック決済大手である「Ascend Money(アセンド・マネー)」の株式20%を取得する計画を進めていることが明らかになりました。
Ant Financialによるこの海外展開は、のちに日本国内でソフトバンクグループがPaytm(ペイタム)の技術を導入して「PayPay」を立ち上げた事例とも類似しています。中国国内で構築したモバイル決済モデルを、資本出資を通じて新興国のローカル決済プラットフォームへ移植するグローバル戦略の一環です。
東南アジアへの足がかり
今回の出資は、Ant Financialの香港法人である「Alipay (Hong Kong)」を通じて実施される予定です。さらにAnt Financialは、本取引の完了から21ヶ月以内に、Ascend Moneyの株式をさらに10%追加取得できるオプションも求めています。
出資先であるAscend Moneyは、タイ国内でオンライン決済サービスを展開する「True Money」や、小口金融のライセンスを保有する金融サービスプロバイダ「Ascend Nano」の親会社です。親グループであるAscend Group は、タイの3大通信キャリアの1つであるTrue Corporation からスピンオフして設立された有力企業です。
WeChat Payとのグローバル覇権争い
中国国内のモバイル決済市場で支配的な地位を築いたAlipay(アリペイ / Alipay)は、飽和しつつある国内から急成長を続ける海外市場へと視線を移しています。しかしグローバル市場においても、テンセント (Tencent / 騰訊)が運営する「WeChat Pay(ウィーチャットペイ / WeChat Pay)」との激しいシェア争いに直面しています。
Ant Financialはこれまでに以下のようなグローバル戦略を展開しています。
インド :国内最大のモバイルウォレット決済プロバイダ「Paytm」に5億ドル以上を出資し、実質的な最大株主となる
韓国 :大手通信事業者KTが主導するネット専用銀行「K Bank(ケイビー・バンク)」の設立に参加(※政府の規制により出資比率は2%に留まる)
Ant Financialは2016年4月時点で、シリーズB資金調達ラウンドにおいて45億ドルを調達し、当時の企業評価額は600億ドル(約6.4兆円)以上に達しています。東南アジアにおけるモバイル決済エコシステムの覇権争いは、今後さらに激化することが確実視されています。
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中国決済黎明期から10年以上の取材実績を持つ金融DX実務家、元IBMのエンタープライズITアーキテクト、外資系戦略コンサルティングファーム出身のビジネスアナリスト、およびAI・先端テックスタートアップ陣によって構成される専門リサーチ集団。現地の公式発表・法定開示・登記・特許・学術論文を直接精査し、日本の産業界へ向けて構造的で偏りのない客観インサイトを発信しています。
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