中国が進める国際的な人民元決済システムに、今夏にも日本のメガバンクが参加する見通しとなった。日中間の経済取引の円滑化を見据え、三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行が、自行システムと中国側の決済システムを直接接続する検討に入った。中国経済は当時の減速局面にあるものの、依然として6%台の成長を維持しており、人民元建ての貿易決済需要は中長期的に拡大する可能性が高い。邦銀は決済の自動化により効率性を高め、グローバル企業の取引シェアを拡大したい考えだ。
この新システムは「クロスボーダー人民元決済システム(CIPS)」と呼ばれ、中国人民銀行(中央銀行)が2015年10月に運用を開始した。システム稼働時には米シティグループや英HSBCなど大手外資を含む計19行が参加していたが、当時の邦銀は直接参加が認められていなかった。
三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行は、中国金融当局の承認を得た上でCIPSに直接参加する。これにより、従来は一部手作業で行われていた人民元の決済・清算業務が自動的に処理できるようになり、処理にかかる時間やコストを大幅に削減できる。両行は競合行に先駆けてCIPSに参加することで、顧客企業向けサービスの利便性を引き上げる狙いだ。
(※訳者注:CIPSは、それまでのSWIFTネットワークを経由した複数の中継銀行を挟む複雑な人民元決済フローを簡素化し、時差や送金制限といったボトルネックを解消するために中国人民銀行が主導した決済システムです。日中間での決済の即時化と効率化をもたらすものとして注目されました)
世界市場における人民元決済の重要性は年々増している。金融機関の通信インフラを担うSWIFT(国際銀行間通信協会)の統計によると、人民元は2015年8月、国際決済で利用される通貨別シェアにおいて日本円を抜き、世界第4位の決済通貨となった。中国企業との直接取引において、米ドルではなく人民元建てでの支払いを選択する企業が増えていることが背景にある。
2015年後半からは人民元相場の乱高下が発生し、企業や機関投資家にとって人民元を保有するリスク管理の重要性が増している。決済効率を高める新システムへの接続が邦銀にも広がれば、人民元の国際化をさらに推進したい中国当局の思惑とも一致することになる。
国際通貨基金(IMF)は、2016年10月から加盟国への特別引き出し権(SDR)の構成通貨に人民元を正式採用する。これにより、人民元建ての投融資や企業間の資金決済がさらに活発化する見通しであり、邦銀は取引インフラの整備と自動化に向けた対応を急いでいる。
情報源:日本経済新聞
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