個人の信用スコアが、海外渡航時のビザ申請手続きの簡素化に大きく貢献することになりそうです。
Alipay(アリペイ)のユーザーが自身の信用レベルを測る指標である「芝麻ポイント」をもとに、アリババ傘下の旅行プラットフォーム「Alitrip(アリトリップ/去啊)」と個人信用評価機関「芝麻信用(セサミクレジット)」が共同で、画期的な「信用ビザ」サービスの提供を開始しました。
芝麻ポイントによるビザ申請書類の免除
「芝麻ポイント(個人の信用度を350〜950ポイントで評価したスコア)」が一定基準を満たすユーザーは、従来の申請プロセスで義務付けられていた多くの証明書類の提出が免除されます。
- シンガポール(700ポイント以上):在職証明書、戸籍謄本、身分証明書のコピーといった書類が一切不要となり、Alitripの電子ビザ申請窓口を通じて容易に申請可能。
- ルクセンブルク(750ポイント以上):ヨーロッパのシェンゲン圏26カ国の自由な往来を可能にする「シェンゲンビザ」の申請において、本来必要となる銀行残高証明(資産証明)や在職証明などの主要書類が免除。
「世界一申請が難しい」シェンゲンビザへの適用
これまで、中国の一般市民にとって海外旅行のビザ申請は非常に大きな心理的・物理的障壁でした。特にヨーロッパのシェンゲンビザは「世界で最も取得が難しいビザ」の一つとされ、戸籍謄本、身分証、会社の営業許可書のコピー、航空券・ホテルの予約確認書、詳細な預金残高証明など、10種類以上の書類を揃えるために膨大な時間と費用をかける必要がありました。
芝麻信用、Alitrip、および在上海ルクセンブルク大公国総領事館が締結した業務提携は、この状況を大きく塗り替えるものです。スコア750ポイント以上の適格ユーザーは、ルクセンブルク経由で信用ビザを取得することで、改めて他の国のビザを個別に申請することなく、ヨーロッパ各国を自由に移動できるようになります。
アント・フィナンシャルによる信用インフラの構築
芝麻信用は、Alipayの運営親会社であるアント・フィナンシャル(アリ金融サービスグループ、現アントグループ)が2015年初頭から本格提供を開始した個人信用スコアサービスです。中国人民銀行が個人信用調査業務の試験運用を認可した民間8機関の一つであり、モバイル決済の利用実績や支払い遅延の有無、資産状況などのビッグデータをもとに算出されます。
ビザ申請分野での「信用連携」は、シンガポールとルクセンブルクを皮切りに、今後はイギリス、韓国、日本などの人気渡航国への導入に向けて交渉が進められています。デジタルデータが国家レベルの信頼(ビザ発給)の代替証明となり得ることを示した、非常に先進的なフィンテック事例と言えます。
情報源:北京青年報
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