
中国のモバイル決済市場において、クレジットカード決済ネットワークを独占する中国銀聯(UnionPay)と、サードパーティ決済大手の「Alipay(アリペイ、支付宝)」との対立が激化しています。
アリペイは公式Weiboを通じて、すべてのオフラインPOS決済事業を停止することを発表しました。
撤退の背景にある銀聯の「5号通達」と直接接続問題
この決定の背景には、中国銀聯が発行した「5号通達」と呼ばれる規制強化策があります。
従来の決済フローでは、加盟店手数料などの分配において銀聯の決済ネットワークを経由する必要がありました。しかし、アリペイをはじめとするサードパーティ決済事業者は、各商業銀行と「直接接続(直連)」するネットワークを構築し、銀聯をバイパスすることで手数料コストを抑えていました。
銀聯側にとっては、ATM手数料や国際業務と比べて全体収益の約70%を占めるPOS決済の手数料ビジネスが、これらサードパーティ決済事業者によって侵食されていることになります。これに対抗するため、銀聯は取締役会で「オンライン(インターネット決済)およびオフライン(POS決済)のすべての決済は、銀聯ネットワークを経由しなければならない」という方針を打ち出しました。
アリペイにとっての影響と戦略的意図
2012年3月に物流業者向けのPOS決済ソリューションを立ち上げたばかりのアリペイにとって、今回の事業停止は苦渋の決断です。
すでに市場に配布されていた約1万台の物流業者向けモバイルPOS端末は、銀聯ネットワークと提携する他のアクワイアラー(加盟店契約会社)銀行のシステムへ切り替える必要に迫られています。
しかし、アリペイ全体の売上シェアにおいて、オフラインPOS決済が占める割合はごくわずかです。今回の撤退は、銀聯との全面戦争を避けつつ、自社の圧倒的強みであるインターネット(オンライン)決済分野を死守するための戦略的判断であると見られています。
中国における「銀行と決済事業者の直接接続」による銀聯バイパスの構図は、依然としてオンライン領域を中心に続いていく見込みです。
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