
TL;DR: 中国の高級スマートEV市場をリードする「Li Auto(理想汽車)」は、2026年2月に26,421台の新車を納車し、累計納車台数は1,594,304台に達しました。春節(旧正月)をまたぐ期間に大規模システムアップデート「OTA 8.3」を配信し、AI機能の核となる「VLA(Vision-Language-Action)モデル」を実用化。さらに2026年第2四半期には、同社の最新チップと制御技術を結集した次世代フラッグシップSUV「新型L9 / L9 Livis」の投入を控え、インフラ・ソフトウェア・ハードウェアの三位一体での差別化を強めています。
Quick Facts(主な実績とアップデート内容)

- 2月の納車台数: 26,421台
- 累計納車台数: 1,594,304台(2026年2月末時点)
- OTA 8.3アップデート: 物理世界の認識精度を30%高めた「VLA自動運転モデル」、車内エンタメをパーソナライズするスマートコックピット、駆動制御システムの3領域を同時強化
- 超急速充電インフラ: 中国全国に4,054拠点の超急速充電ステーション(合計22,447基の充電スタンド)を展開。春節期間の利用回数は145万回超、総電力量は4,200万kWhを突破
- 新型車の予告: フラッグシップSUV「新型L9」および最上位グレード「L9 Livis(起售价50.98万元 / 約1,020万円)」を2026年第2四半期に投入予定
中国の新興スマートEVメーカーとして業界を牽引するLi Autoは、販売チャネルの維持に加え、自前の「超急速充電ネットワーク」の急速な整備と、自動運転AIを搭載するOTAアップデートによってユーザー体験(UX)を劇的に向上させています。同社は、単なる乗り物としてのEVから、高度な学習機能を持った「エンボディドAI(具身智能)」を搭載する次世代SUV「新型L9」への移行を進めています。
2月の納車実績と市場トレンドの持続性
Li Autoは2026年2月単月で26,421台を納車しました。春節による工場休業や購買活動の停滞といった季節的要因により、前年同月比では約5%の微減となったものの、競合他社と比較して高水準のパフォーマンスを維持しています。
累計納車台数は1,594,304台を数え、2025年12月時点(約154万台)から約3ヶ月で5万台以上の上積みを達成。中国の「新興EV御三家(NIO、XPENG、Li Auto)」の中でも圧倒的な納車規模を誇り、特にレンジエクステンダー(発電用エンジン搭載)EV(EREV)市場での高いシェアが成長を支えています。
OTA 8.3の目玉機能:「VLAモデル」の導入
2026年2月上旬に配信されたシステムバージョン「OTA 8.3」では、自動運転およびコックピット環境が一新されました。特に注目されるのは、最先端の自動運転技術である「VLA(Vision-Language-Action:視覚・言語・行動)モデル」のアップデートです。
このモデルは、フロントカメラで検知したリアルタイムの視覚情報(Vision)を、AIが状況説明するテキスト情報(Language)と結びつけ、最適な運転操作(Action)へとシームレスに出力します。これにより、物理世界の認識精度が30%向上し、ナビや道路標識がない都市部の入り組んだ道路や、急な割り込み車両に対しても、より人間に近い滑らかで直感的な回避・走行が可能になりました。
また、コックピット側ではAIを応用した「アートフォトフレーム機能」や、車内の空調とセキュリティを監視する「ペットモード」などのライフスタイル系機能が追加され、車を「パーソナライズされた生活空間」としてアップデートしています。
独自インフラである「超急速充電ネットワーク」の強み
Li Autoはインフラ整備に対しても莫大な投資を続けています。現在、中国全土の高速道路や主要都市の商業施設に4,054拠点の超急速充電ステーションを設置し、充電スタンドは22,447基を超えています。
春節の帰省ラッシュ期間中には、自社ユーザーによる充電回数が145万回を突破し、総充電量は4,200万kWhを記録。公共の充電インフラが混雑する中、独自の高速充電網を提供することで、同社ユーザーの平均待ち時間を30分以上削減。これが車両購入時の強力な決定要因(エコシステム)となっています。
身体性AI(Embodied AI)(エンボディドAI)SUV:新型L9シリーズのロードマップ
2026年第2四半期(5月納車開始予定)に控える「新型L9」および「L9 Livis」は、同社の最先端テクノロジーがすべて搭載されるマイルストーン的モデルです。
- 処理性能: 自研チップ「馬赫(Mach)M100」を搭載し、システム合計で2,560 TOPSという他を圧倒するAI処理能力を確保。
- シャーシ性能: 後輪操舵(ステアリング)を含むフル線控(バイワイヤ)シャーシと、800Vで駆動する能動制御(アクティブ)サスペンションを統合し、あらゆる路面でのフラットな乗り心地を実現。
- 価格帯: 最上位「L9 Livis」は50.98万元(約1,020万円)からで、プレミアム輸入車セグメントの顧客を本格的にターゲットにしています。
主要メーカーとの仕様・インフラ比較
中国のスマートEV・プラグインハイブリッド車(PHEV)市場を巡っては、メーカーごとに重点を置くポイントが異なります。
| メーカー / ブランド | 2026年2月納車台数 | 累計納車台数 | 超急速充電ステーション数 | 特徴・主力技術 |
|---|---|---|---|---|
| Li Auto(理想汽車) | 26,421台 | 約159万台 | 4,054拠点 | エンボディドAI、VLAモデル、レンジエクステンダー(EREV)での圧倒的強み |
| NIO(蔚来汽車) | 約30,000台 | 約120万台 | 約3,800拠点 | バッテリー交換(スワップ)ステーション、ラグジュアリーEVブランド |
| BYD(比亜迪) | 約45,000台 | 約230万台 | 約5,200拠点 | 自社製バッテリー(ブレードバッテリー)の垂直統合、広範な価格帯 |
※BYDはEV+PHEV合算、NIO・XPENGなど競合も新車ラッシュを迎え、市場のイノベーションスピードは激化しています。
まとめ
Li Autoは、単なる電動化の枠組みを超え、自社製ハードウェア、大規模AIモデル(VLA)、および自立インフラ(超急速充電)を統合した独自の強みを確立しています。第2四半期の新型L9およびL9 Livisの登場は、プレミアムEVにおける「スマートカー」の再定義をさらに推し進めることになるでしょう。
よくある質問(FAQ)
- Q1: OTA 8.3で導入された「VLAモデル」とは何ですか?
- A1: 従来のセンサーフュージョン(合成)に加え、カメラ画像と言語情報、車の動きを紐付ける最新のマルチモーダルAI技術です。これにより、従来の運転支援システムが苦手としたイレギュラーな道路状況でも、熟練ドライバーのような滑らかな判断が可能になります。
- Q2: 新型L9の最上位グレード「L9 Livis」の特徴は?
- A2: 50.98万元(約1,020万円)の価格帯で、合計2,560 TOPSの演算性能を持つ「M100」チップや、後輪操舵と線控(バイワイヤ)シャーシを統合し、ARデジタルデバイスとのシームレスな連携機能を備えた次世代コックピットです。
- Q3: 理想汽車のEREV(レンジエクステンダー)とはどういう仕組みですか?
- A3: エンジンを発電専用として搭載し、駆動はすべてモーターで行う仕組みです。充電インフラが未整備の地域でもガソリン給油で長距離走行ができるため、中国のファミリー層から高い支持を得ています。
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