1. 国際事業GTV前年比47%増:DiDi中南米の成長躍進

2025年第4四半期において、DiDi(滴滴出行)の国際事業におけるGTV(総取扱高)は前年同期比47.1%増の366億元(約7,700億円)を記録し、年間GTVは1,170億元(約2兆4,600億円)規模に達しました。年間注文件数も45億件を突破し、力強い拡大トレンドを維持しています。
1日あたりの平均注文件数は1,300万件を超えており、これは中国国内市場の約3分の1に相当する規模です。中南米全体でのモビリティ需要を牽引する主要プレイヤーとして、その存在感を不動のものにしています。
この高い成長背景には、同社が2022年以降に加速させてきた「現地ブランドの尊重」と「周辺サービスへの横展開」があります。市場平均を大きく上回る成長ペースを維持していることから、グローバル投資家からも極めて高い評価を受けています。
ライドシェア依存と消耗戦
4輪配車のみに依存し、競合他社との激しい価格ダンピングに消耗。インフレや燃料高騰がドライバーの定着率低下を招く悪循環に直面。
移動・食・金融の垂直統合
低コストなバイク配車「99Moto」、フードデリバリー「99Food」、決済「DiDi Pay」が相互に送客。中国EV調達で運行コストとCO2を大幅削減。
「単なる配車アプリの枠組みを超え、日常の移動・食・決済、そしてEVインフラまでを垂直統合する。これこそが新興国市場で圧倒的な顧客定着率を生む原動力です」
── DiDi ラテンアメリカ事業統括2. 現地ブランド「99」の尊重とバイク配車による地域浸透

DiDiのローカライズにおける最大の特徴は、ブラジル最大手の配車スタートアップ「99(ナインティナイン)」を買収した際、現地で親しまれてきたブランド名や経営チームをそのまま維持した点にあります。
現在、中南米におけるアクティブユーザー数は5,500万人を超え、150万人以上のドライバーや配達員が登録しています。3,300以上の都市でサービスを展開し、全体のシェアは約40%に達しています。
このローカライズ戦略により、ユーザーは違和感なくサービスを利用でき、高い定着率を実現しました。特にブラジルで展開する2輪車(バイク)配車サービス「99Moto」は、サービス開始から3年で累計20億件以上の注文を獲得。ドライバー数は30%増、配送注文件数は60%増と、既存の4輪車配車をしのぐ勢いで成長しています。
3. 配車・デリバリー・デジタル金融を束ねるスーパーアプリ戦略
DiDiは、強固な配車事業の顧客基盤を武器に、メキシコでフードデリバリー事業「DiDi Food」およびデジタル金融サービス「DiDi Card / DiDi Pay」を垂直立ち上げしました。
メキシコ国内では、70以上の都市で3,000万人以上のアクティブユーザーを抱え、配車とデリバリーの両部門でシェア首位争いを演じています。
また、ブラジル市場でも一度撤退した「99Food」を再起動し、サンパウロをはじめとする60以上の主要都市でサービスを再開。2025年8〜10月の調査では、現地の絶対的王者であった「iFood」のシェアが52.3%に低下する一方、99Foodが10%へとシェアを急拡大させ、独占状態に風穴を開けました。
4. 中国EVサプライチェーンの直結と持続可能インフラ構築
ブラジルの「99」プラットフォームでは、2024年7月に環境配慮型の配車サービス「99electric-Pro」をローンチし、主要5都市でEV車両の配備を進めています。
2025年11月までに累計2,700万人以上がこのエコシステムを利用し、CO2削減効果は約3.12万トン(樹木約24.5万本の年間吸収量に相当)に上ります。
さらにメキシコ市場でも、2025年10月に中国のEVメーカー大手である広汽アイオン(GAC Aion)や江淮汽車(JAC Motors)から、EV専用車両500台を新たに導入。2030年までに中南米全域で10万台のEV導入を目指す壮大なロードマップを掲げています。
5. 主要プレイヤーの市場影響と競合比較
| 企業・サービス名 | 市場における影響と動向 |
|---|---|
| DiDi(滴滴出行) | 中南米全体で配車・フードデリバリー・デジタル金融のシェアを急拡大させ、「スーパーアプリ」化を推進。 |
| 99(ブラジル現地子会社) | 現地の商習慣に適応したバイク配車やフードデリバリーの再強化により、圧倒的なシェアを獲得。 |
| iFood(ブラジル競合) | 99の再参入により独占的シェアが侵食され、競争激化による防衛策を迫られる。 |
| 広汽アイオン / 江淮汽車 | メキシコおよび中南米市場へEVを大量供給し、現地のEVインフラおよび市場の活性化を主導。 |
これらの取り組みは、DiDiが単なる移動手段の仲介サービスに留まらず、現地の都市交通インフラやデジタルエコシステムそのものを定義する存在へと進化していることを示しています。
6. まとめ:新興国モビリティのゲームチェンジャー
中南米におけるDiDiの躍進は、強固な配車事業からスタートし、デリバリーや金融への多角化、重点的なEV化など、持続可能な社会インフラへの進出によってもたらされています。今後も現地の成長市場をリードするプラットフォームとして、さらなる成長が期待されます。
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よくある質問(FAQ)
Q: DiDiの中南米におけるユーザー規模はどのくらいですか?
ブラジル(99ブランド含む)で約5,500万人、メキシコで3,000万人以上のアクティブユーザーを擁しており、中南米全体の合計ユーザー数は1億人規模に達しています。
Q: ブラジルでの「99Food」の進捗はどうですか?
サンパウロ都市圏において2025年8〜10月時点で市場シェア10%に到達し、アクティブユーザー浸透率は15.9%(約310万人)に達しています。王者iFoodに対抗する存在として急成長を遂げています。
Q: EV(電気自動車)の導入計画はどの程度進んでいますか?
現在メキシコで中国メーカー製のEV専用車両500台を新規導入したほか、ブラジルでのエコシステム拡大を含め、2030年までに中南米全体で10万台のEV車両を導入する計画を進めています。
なお、同領域における最新の産業構造と競争力学については、本誌が検証した伝音テクノロジーがアフリカを制し中南米で躍進する海外戦略および米若者を虜にする孤独AI:Talkie、年商1億ドルの光と影の分析もあわせて参照されたい。
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