中国国内で爆発的に普及しているモバイル決済システムが、JR東日本グループの駅ビル商業施設「アトレ」に導入されます。第一弾として2017年11月21日から東京都内の主要駅である上野と秋葉原の店舗で運用を開始しました。増え続ける訪日中国人観光客のインバウンド消費を取り込む狙いで、2018年半ばまでにアトレ全館へ順次拡大する予定です。
導入されたのは、中国モバイル決済市場で双璧をなす「Alipay(アリペイ)」と「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」の2大ブランドです。
これらのシステムは、買い物客がスマートフォンの画面に表示したQRコードを店舗側の決済端末で読み取るだけで支払いが完了する仕組みで、中国国内では日常的な買い物から公共サービスに至るまで広く浸透しています。
アトレは、2018年6月末までに全22館、約1500のテナント店舗へこの決済インフラを導入する計画です。アトレ上野店の営業担当者は「中国人観光客の間では、口コミやSNSを通じて駅ビルの認知度が高まっています。決済環境を整備することで、さらなる売上拡大に繋げたい」と期待を示しています。
決済を起点とした帰国後の越境EC戦略
今回の決済導入は、単なる店頭での支払い手段追加にとどまりません。例えばWeChat Payを導入することで、対話アプリである「WeChat(微信)」の公式アカウントを通じて、買い物客が帰国したあとも自社商品やキャンペーンの情報をダイレクトに配信できます。これにより、日本での実店舗体験を起点とした帰国後のリピート購入(越境EC)へと繋げる新たなビジネスモデルが構築されつつあります。
Alipayの日本国内展開を支援するパートナー企業(リクルートライフスタイルなど)の担当者は「中国ではモバイル決済が決済機能にとどまらず、公共料金の支払いから目的の店探し、予約までカバーする生活プラットフォームとなっています。現金を持ち歩かないライフスタイルが標準化しているため、日本国内でこれらのモバイル決済に対応していない店舗は、そもそも消費者の選択肢から除外されてしまう可能性があります」と指摘します。
日本のキャッシュレス化への警鐘と官民の課題
中国決済インフラの日本上陸と急速な拡大について、電子決済分野に詳しい野村総合研究所の上級コンサルタントは「インバウンド需要を獲得する上で、訪日外国人が普段母国で利用しているストレスのない決済環境を整えることは非常に重要であり、日本経済にとっても大きなプラスになる」と評価します。
一方で、これらが日本国内のローカル決済市場に与える影響については次のように指摘しています。「AlipayやWeChat Payなどは、日本を含めたグローバル展開を極めて速いスピードで進めています。その展開速度は日本企業の比ではなく、キャッシュレス推進において日本も官民一体となって早急に具体的な将来像を描き、対応を加速させる必要があります」
スマートフォンの普及とともにフィンテックは生活の利便性向上や業務の生産性を高める新たな成長分野として世界的に注目を集めており、日本にとってもキャッシュレス社会への移行は急務の課題となっています。
情報源:NHKニュース
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