中国で現在、最も急速に発展しているのがモバイル決済(スマートフォン決済)だ。国慶節の連休期間(10月1日〜8日)には、中国人観光客の海外旅行増加に伴い、海外でもAlipay(アリペイ)やWeChat Pay(ウィーチャットペイ)の利用シーンが劇的に拡大した。連休中、これら中国の主要決済サービスでの支払いを導入した海外の空港、免税店、商業施設は前年同期と比べて大幅に増加した。
フランス・パリの老舗百貨店ギャラリー・ラファイエットは最近、WeChat Payの利用を開始し、中国人顧客向けにお得な為替レートを提供して集客を図っている。また、日本の多くの空港やドラッグストア、百貨店でも昨年末からAlipayが利用可能となっており、日本にいながら中国国内と同様の利便性でショッピングを楽しめる環境が整った。さらに今年6月初めには、Alipayが日本国内のケンタッキーフライドチキン(KFC)で導入されることが発表され、まずは東京や大阪などの主要エリア123店舗から順次拡大している。
中国のモバイル決済は国内での圧倒的な普及を背景に、急速なグローバル展開を開始している。オンライン技術を活用したモバイル決済は、国境や時間帯に左右されず、いつでもどこでも瞬時に決済ができる強みを持つ。世界展開の一歩を踏み出すやいなや、そのネットワークは一気に地球規模へ広がっている。
現時点で、Alipayは欧米、日本、韓国、東南アジア、香港、マカオ、台湾など、世界33の国と地域で利用が可能となっている。その適用領域も、飲食、スーパー、百貨店、コンビニ、テーマパーク、主要空港、さらには免税手続き(タックスリファンド)まで非常に広く、旅行者のほぼすべての消費シーンをカバーしている。一方、WeChat Payもこれまでに13の国と地域に進出し、海外の13万店舗以上で導入され、12種類以上の通貨での決済に対応している。
さらに、検索大手「Baidu(百度)」傘下の「Baidu Wallet(百度銭包)」もタイでのサービス提供を開始し、今後は日本や韓国などへの展開も計画している。また、大手EC企業の金融部門である「JD Finance(京東金融)」は9月、タイの流通大手セントラル・グループと合弁会社を設立し、現地の決済市場に参入した。
電子決済の重要性が高まるにつれ、世界のカード決済の割合は2019年までに46%にまで縮小すると予測されている。現在のモバイル決済の成長スピードを考慮すると、今後数年以内に、中国だけでなく世界中でスマートフォン決済が従来のクレジットカード決済を追い抜く見通しだ。実際、中国の主要な「一級都市(北京・上海・広州・深セン)」などでは、すでに昨年の時点でその逆転現象が起きている。
2017年第2四半期(4-6月)において、中国のサードパーティ・モバイル決済市場は23兆元(約391兆円)規模に達し、前四半期比で22.5%増を記録した。実店舗におけるスマホ決済の比率は50.3%に達しており、地方の「四級・五級都市」でもそれぞれ43.5%、38%、さらに農村地域でも31.7%に達するなど、全国的な広がりを見せている。
中国の大都市における飲食、娯楽、ショッピングなどの実店舗では、モバイル決済の割合が現金やデビットカードを上回り、財布を持たない「キャッシュレス時代」が完全に定着した。この購買行動の変容は、大都市から地方都市へと確実に波及している。
モバイル決済が世界規格へと拡大するにつれ、GoogleやMeta(旧Facebook)、Amazon、ソフトバンクといったグローバルテック企業もこの巨大市場へのアプローチを強めている。これにより、モバイル決済分野での主導権争いは世界規模で激化している。
中国のモバイル決済を牽引するフィンテックの進歩は、単に中国国内の決済習慣に留まらず、世界の金融システムと人々の生活様式を根本から塗り替えようとしている。
情報源:北京青年報
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