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    中国のQRコード決済が日本進出、国内勢と競うキャッシュレス

    中国で爆発的に普及したQRコード決済サービス。AlipayやWeChat Payの日本展開を皮切りに、LINE PayやNTTドコモなどの国内事業者が独自のアカウント基盤で市場参入を急ぐ背景と、国際規格EMVCoの動向を踏まえた将来予測を解説する。

    中国のQRコード決済が日本進出、国内勢と競うキャッシュレス

    QRコードを用いた決済システムは、中国国内で爆発的な広がりを見せており、都市部を中心にキャッシュレス社会への移行が急速に進んでいる。さらに、可処分所得の増加に伴い、世界各地へ渡航する中国人観光客の消費を取り込むため、世界中でQRコード決済インフラの整備が加速している。

    この波は日本国内にも押し寄せている。日本経済新聞の報道によると、アリババグループ(阿里巴巴集団)は2018年春を目処に、日本在住ユーザー向けのスマートフォン決済サービス「Alipay(支付宝)」を展開する計画を進めているという。

    すでにローソンなどの一部の大手小売店やドラッグストアではインバウンド向けのAlipay決済が導入されているが、この仕組みを日本人向けにも開放し、3年以内に1000万人規模の利用者を獲得することを目指している。

    当初は北京や上海といった中国の主要大都市で普及が始まったQRコード決済だが、現在では地方都市や農村部にまで拡大し、露店や屋台を含むほぼすべての店舗で導入されている。

    この中国発の決済インフラのグローバル展開は目覚ましい。アジア各国はもちろん、欧米の金融機関との提携により、Alipayが利用できる加盟店数は日々増加している。前述のローソンの全店導入もその一環だ。

    海外展開における重要な戦略は、既存のPOSレジのソフトウェア改修やモバイルPOS(mPOS)端末の導入により、店頭に「QRコードを表示・読み取る仕組み」を追加することだ。これは、現地で新規ユーザーを開拓するより先に、すでにAlipayアカウントを持つ中国人観光客が旅行先でシームレスに決済できるようにするインバウンド利便性の向上が主眼となっている。

    Alipayと並び、中国国内で紙幣やコインを使わない熾烈なシェア争いを繰り広げているのが、テンセント(騰訊)の「WeChat Pay(微信支付)」だ。WeChatの月間アクティブユーザー数はすでに9億人を超えており、登録ユーザー数ではAlipayを上回る。

    WeChat Payの日本展開もAlipayと同様に、中国人観光客のインバウンド消費の獲得が中心となっている。ただし、日本国内の代理店を通じて加盟店開拓や審査を進めるAlipay(アント・フィナンシャル)に対し、テンセントはオープンスタイルで直接加盟店を募る傾向があり、その展開手法には違いが見られる。

    現在、日本国内では加盟店獲得業務(アクワイアリング)において、リクルートがAlipay、アプラスがWeChat Payを担当するなど、店舗向け決済代行サービスの競争が始まっている。

    中国ではオンラインEC決済サービス(Alipayや財付通)の利用経験がベースとなり、それがオフライン決済へ移行する形でQRコード決済が定着した。一方、日本市場においてはオンライン決済の決定的なアカウントプラットフォームがまだ確立されておらず、ユーザーのアカウント開設から始める必要がある点が、キャッシュレス普及の障壁となってきた。

    その点で、日本国内で最も有利な位置にいるとされるのが「LINE」である。同社は国内7000万人以上の圧倒的なコミュニケーション基盤を活用し、送金・決済サービス「LINE Pay」をチャットアプリ上に構築している。自動販売機との連携やQRコード決済など、多様な対面・非対面決済をカバーし、若年層を中心に利用者を増やしている。

    さらに、NTTドコモもQRコード決済への参入を模索している。同社は「FinTech推進室」を立ち上げ、キャリア決済と連携したQRコードによる決済システムの開発に着手しており、2017年度内の提供を目指している。

    ドコモのサービスは、既存の通信回線契約(ドコモアカウント)と連携しているため、ユーザー側の初期設定の手間が少ない。また、おサイフケータイ(FeliCa)のような高額な読み取り端末やクレジットカード審査のハードルがないため、導入コストを嫌う個人商店や小規模店舗への加盟店開拓が容易であるという強みを持つ。

    現在、MastercardやVisaなどの国際決済ブランドも賛同し、ICカード規格の標準化団体「EMVCo」が中心となってQRコード決済の国際標準化が進められている。これは、世界中で乱立するQRコード規格の統合と、クレジットカードインフラへの上位互換性の確保を狙った動きである。

    Visaは、カード決済用POS端末の設置がコスト面で困難なアフリカやアジア太平洋地域向けに、QRコード決済サービス「mVisa」を15カ国で展開しており、インフラ未整備地域における金融包摂(ファイナンシャルインクルージョン)の有効な手段と位置づけている。

    今後の見通しとして、日本国内のキャッシュレス市場は、AlipayやWeChat Payによるインバウンド向け決済インフラの整備と並行して、LINE Payや大手キャリア勢が国内ユーザー向けにQRコード決済を普及させ、互いのインフラに相乗りする形で市場形成が進んでいくと考えられる。

    情報源:ITPro

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