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    中国モバイル決済ユーザーが6億人突破、金融構造に全方位変化

    中国のモバイル決済ユーザー数が6億人を突破する見通しです。決済規模は201兆元(約3400兆円)に達し、AlipayとWeChat Payの2強体制が定着。伝統的金融機関のブランド力消失、通信キャリアの決済参入、ECと金融の融合など、業界の全方位的なデジタル変革の全貌を解説します。

    中国モバイル決済ユーザーが6億人突破、金融構造に全方位変化

    中国におけるキャッシュレス化の波は、世界でも類を見ないスピードで拡大しています。2016年の中国国内における非現金決済件数は前年比32.6%増の1251億件、決済総額は3687兆元(約6京2679兆円)に達しました。そのうち、モバイル決済やネット決済を含む電子決済の割合は68%(2500兆元)を占めており、生活のあらゆるシーンがデジタルシフトしています。

    モバイル決済ユーザーは6億人を突破し、さらなる成長へ

    中国の市場調査会社である中商産業研究院のデータによると、2016年の中国国内におけるモバイル決済のアクティブユーザー数は4億7000万人に達し、前年の3億6000万人から30.6%増加しました。2017年にはさらに27.7%増加し、ユーザー数は6億人を突破する見通しです。この成長は今後も継続し、2020年には8億1000万人に達すると予測されています。

    モバイル決済の年間取引金額も爆発的に増大しており、2015年の105兆元(2014年比457%増)から、2016年には前年比50%増の158兆元を記録。2017年には201兆元(約3400兆円)に達すると予測されています。この劇的な変化の背景には、消費者のPCからスマートフォンへの完全なデバイス移行と、アリババの「Alipay(支付宝)」およびテンセントの「WeChat Pay(微信支付)」という二大エコシステムが社会インフラとして完全に定着したことがあります。

    金融インフラの激変がもたらす3大トレンド

    モバイル決済の急速な普及は、従来の金融業や産業構造に対して「全方位」での変革を強いています。その主なポイントは以下の3点に集約されます。

    1. 伝統的銀行の「ブランド力消失」と全方位型デジタルシフト モバイル決済アプリが日常の小口決済、送金、資産運用、融資の窓口となったことで、従来の商業銀行の存在感は劇的に低下しました。かつて誇っていた銀行の「店舗網」や「ブランド力」は決済のフロントエンドにおいて意味をなさなくなり、各金融機関は銀行機能そのものをAPIとしてモバイルプラットフォームに提供するバックエンドとしての役割への変化を迫られています。

    2. 通信キャリアの多角化と決済ビジネス参入 音声通話やデータ通信などの土管化(コモディティ化)が進むなか、中国の3大通信キャリア(中国移動、中国聯通、中国電信)もビジネスモデルの変革を余儀なくされました。彼らは通信サービスの付加価値を高め、囲い込みを図るため、自らモバイル決済子会社を設立。独自のプリペイドやスマートカードによるモバイル決済分野へ参入し、新たな収益源の確立を目指しました。

    3. ECプラットフォーム発の金融イノベーション アリババのタオバオからAlipayが生まれ、金融サービス(余額宝や個人信用スコア「芝麻信用」)へ発展したように、膨大な購買データを持つEC事業者が金融ビジネスに参入する動きが一般的になりました。顧客の購買履歴や行動データをリアルタイムで分析し、与信管理やローン実行を行う仕組みは、従来の融資の常識を覆しました。

    当時、日本の金融市場では、確固たる信頼性を持つ全国の銀行ATMネットワークや高い防犯性によって、現金に対する絶大な信頼が維持されていました。一方で中国では、偽札問題への懸念や店舗の偽造防止といった切実なニーズと、人民銀行(中央銀行)による「二次元コード決済業務規範」の発行といった柔軟な政策サポートが合わさり、モバイル決済が急速に普及しました。この6億人から8億人規模に上るユーザー基盤が主導するボトムアップのデジタル変革は、今やマクロ経済の動向すら左右する巨大な力となっています。

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