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    日本のインバウンド消費を救うか、遅れる「モバイル決済」の行方

    日本のキャッシュレス決済普及率が僅か数%に留まる中、中国ではモバイル決済の利用率が98%を超え、市場規模も爆発的に成長している。2020年の東京五輪に向け、訪日中国人によるインバウンド消費を最大化させるために、日本企業がモバイル決済インフラを導入する必要性と課題を分析する。

    日本のインバウンド消費を救うか、遅れる「モバイル決済」の行方

    世界的に急速な普及が進んだスマートフォン。それらの端末を用いた「Apple Pay」や「LINE Pay」といったモバイル決済サービスは、国内外で利用者を増やしている。日本国内でも店頭で見かける機会が増えてきたものの、諸外国と比較すると、日本のモバイル決済普及率は大きく遅れを取っているのが現状だ。

    日本銀行決済機構局が発表した「決済システムレポート」によると、日本国内でスマートフォンなどの端末を店舗の読み取り機にかざし、店頭でのキャッシュレス決済機能を「日常的に利用している」と答えた割合は、調査全体のわずか6%にとどまる。

    一方で、中国の都市部消費者を対象にした調査では、回答者の98.3%が「過去3ヶ月以内にモバイル決済を利用した」と答えている。また、アフリカのケニアでもモバイルマネーサービス(M-Pesaなど)が急速に浸透し、携帯電話加入者の約76.8%が利用しているとのデータもある。これらと比較すると、日本におけるモバイル決済の利用浸透の遅さは顕著だ。

    急成長する中国市場に目を向けると、2016年のモバイル決済総額は約627兆円に達したと英フィナンシャル・タイムズ紙が報じている。また、国連主導の国際同盟「Better Than Cash Alliance」の報告書によると、アリババグループが提供する「Alipay(アリペイ)」と、テンセントが運営し毎日約6億人が利用するコミュニケーションアプリの「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」の2大サービスだけで、2016年の年間決済総額は約320兆円を超えたという。

    いずれもスマートフォンアプリと連動し、店頭でQRコードを提示・スキャンするだけで即座に決済が完了する手軽さが、爆発的なユーザー拡大に大きく寄与したと考えられる。

    2013年以降、文字通り破竹の勢いで拡大を続ける中国のモバイル決済市場だが、この強大な決済エコシステムを取り込みたいのが、日本国内のインバウンド市場である。東京オリンピック・パラリンピックに向けて訪日外国人観光客数や旅行消費額が増加する中、全体のインバウンド消費額の約4割を占める中国人観光客の影響力は極めて大きい。中国人1人あたりの消費単価を向上させることができれば、日本の観光関連産業の売上増に直結する。

    しかし、観光庁による外国人観光客へのアンケートでは、両替の手間やクレジットカードの利用不可店舗が多いことなど、決済手段に対する不満の声が根強く残っている。この障壁を取り除くためにも、中国で日常化しているAlipayやWeChat Payなどのモバイル決済インフラの導入を進めることが、インバウンド需要を確実に取り込むための鍵となる。

    小売店などがこれに対応するためには、専用の決済端末やQRコードを読み取るためのタブレット等の導入が必要だ。消費者庁の調査では、日本国内におけるモバイル決済の認知度自体が依然として低く、利用喚起に向けた普及啓発も課題となっている。

    こうしたインフラ格差を解消するためには、キャッシュレス対応端末の導入支援に対する補助金制度の整備や、官民一体となった認知拡大の施策など、国を挙げた強力な推進体制が不可欠である。観光立国を目指す日本にとって、グローバルなモバイル決済のトレンドに追随しインバウンド消費を最大化させるか、あるいは現状維持に甘んじて機会損失を出し続けるかは、今後の重要な成長戦略の分岐点となるだろう。

    情報源:IoTToday

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