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    中国モバイル決済の普及加速、高齢者へのデジタル対策を模索

    AlipayとWeChat Payの覇権争いが激化する中、中国人口の約16.7%を占める高齢者層のデジタルデバイド対策が急務となっている。指紋認証や家族口座との連携など、高齢者がスマホ操作不要で利用できる新たな決済技術や、新小売「盒馬鮮生(フーマー)」での取り組みを追う。

    中国モバイル決済の普及加速、高齢者へのデジタル対策を模索

    Alipay(アリペイ)は、8月1日〜8月8日までを「キャッシュレス・シティ・ウィーク(無現金城市週)」と定義し、モバイル決済の利用促進に向けたキャンペーンを実施している。中国国内での「キャッシュレス社会」実現に向け、ライバルに対して主導権を握るための大規模な一手だ。

    キャンペーン期間中、Alipayでの決済時にさまざまなユーザー還元が行われる。1回あたり最大4,888元(約8万円)の割引特典や、一部都市における公共交通機関(バス・地下鉄)の3日間無料化、さらにはネット上のキャッシュレス議論で選出された優秀なレビューに対して100元(約1,650円)の電子ご祝儀(紅包)が贈呈されるなど、攻勢をかけている。

    Alipayは2017年2月、「中国国内でのキャッシュレス社会を今後5年以内に達成する」と宣言。ネット上で目標期限までのカウントダウンを開始しており、今回のイベントはそのマイルストーンとしてのデモンストレーションに他ならない。

    顧客データを囲い込み、将来のデジタル金融サービス市場を独占することを目指すAlipayに対し、ライバルであるテンセントのWeChat Pay(ウィーチャットペイ)も同様の期間に大規模な「奨励金」キャンペーンをぶつけている。両社による「インセンティブ大戦」は、大都市から地方都市、個人経営のコンビニのレジ前に至るまで、すべての決済シーンで火花を散らしている。

    モバイル決済(Alipay、WeChat Pay)は、沿海部から内陸部の中西部、さらには農村部に至るまで中国全土に広く浸透し、スマートフォンの保有率は労働年齢人口においてほぼ100%に達している。しかし、ここで置き去りにされているのが、労働市場から退いた非活動層である。中国国家統計局のデータによると、高齢者および児童の人口は約5億人に達し、総人口の約35%を占めている。

    特に、総人口の16.7%(当時)を占める高齢者層は、テクノロジーの進化に追随するリテラシーや学習機会が極めて不足している。スマートフォンの操作が前提となるオンライン配車サービスやデリバリー(フードデリバリー)、シェアサイクル、そしてモバイル決済を使いこなすことができない。結果として、ネット予約制となったタクシーの配車サービスなどから高齢者が締め出されるといった「デジタルデバイド(格差)」問題が生じている。

    この社会的課題に対し、アリババグループはオンラインとオフラインを融合させた新たなリテール戦略「ニューリテール(新小売)」の店舗で解決策を模索している。アリババ傘下の次世代スーパー「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)」では、高齢者へスマートフォンの操作を強制しない新しい決済体験の実験を進めている。

    例えば、ユーザーの子供がAlipay上で「ファミリー口座(親族のアカウント)」を設定しておくことで、親世代のユーザーは店舗でスマートフォンを持たずとも、指紋認証や顔認証を行うだけで決済を完了させることができる。テクノロジーの側が高齢者へ歩み寄ることで、インクルーシブな決済環境の構築を目指している。

    AlipayとWeChat Payが主導する「キャッシュレス」の概念は、単に現金決済を排斥して利便性を追及するだけにとどまらない。その本質は、既存の銀行のデビットシステムやクレジットカードを代替することを超え、政府や中央銀行が主導する清算・決済の管理監督システム(「網聯平台」など)とのパワーバランスや、その背後にある信用情報のデジタル化にある。

    両プラットフォームは、膨大なトランザクションデータから独自のAI与信アルゴリズム(芝麻信用など)を稼働させ、完全に新しいデジタル信用制度を構築しつつある。これは発展途上国など金融インフラの脆弱な国々にとって、重い銀行清算コストを回避し、一気に最先端の金融包摂を実現する道標ともなり得る。

    アント・フィナンシャルの責任者も「我々は、すべての人々に平等な機会を提供したい。それには、誰もが新しいモバイルインフラの利便性を享受できる権利が含まれる」と述べている。

    中国では、アリババとテンセントという二大メガテックの激しい技術競争が、国家のキャッシュレス化を凄じいスピードで牽引している。創業者マー・ユン(馬雲)氏らの強い意志のもと、中国の社会構造は2010年以降のスマートフォン普及で変わり、2015年以降のモバイル決済の一挙な拡大によって再度定義し直された。この変化の速度は、単なる経済指標の推移だけでは測ることができない。わずか1〜2年前の議論が完全に陳腐化するようなテクノロジー主導の超高速イノベーションが、今も中国で展開されている。

    情報源:今日头条

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