
テンセント・ホールディングス(騰訊控股)は、香港における「WeChat Pay(微信支付)」の普及加速を目指し、加盟店開拓の競争を本格化させています。
テンセントの会長兼CEOである馬化騰(ポニー・マー)氏は、香港内の小売業者、特にデパート、スーパーマーケット、コンビニエンスストアとの提携を最優先ターゲットとして進めていると言及しました。クレジットカードやオクトパスカード(八達通)での決済を好む傾向の強い香港の消費者に、スマートフォン向けデジタルウォレットを使った決済スタイルへの移行を促す構えです。
競合独占契約の終了がシェア拡大の好機に
これまで香港市場では、競合のアリペイ(Alipay)が一部の大手小売企業との間で独占的なパートナーシップ契約を結んでいたことが、WeChat Payのシェア拡大の阻害要因となっていました。しかし、馬氏は「こうした独占契約の多くは契約終了に近づいており、今後のシェア奪還に向けた好機が訪れている」と自信を見せました。
アリババとテンセントの両社は、モバイル決済における海外進出の重要な足がかり(出発点)として香港を捉えています。両社は2016年8月、香港金融管理局(HKMA)から電子決済サービス事業者ライセンス(SVF:Stored Value Facilitiesライセンス)を認可された主要5社のうちの2社です。このライセンスにより、両社は香港現地通貨(香港ドル)でのモバイル決済サービスを提供し、現地の銀行口座や現地クレジットカードとの紐付けが可能になりました。
馬氏は記者会見において、香港のモバイル決済市場はまだ黎明期であるにもかかわらず、競合とのシェア争いは予想以上に激化していると指摘しました。
インバウンドから現地ローカル決済への脱皮
現在、香港におけるWeChat Payの利用実績の大半は、中国本土からのインバウンド旅行者によるものです。本土の旅行者は、日常生活でQRコード決済を極めて頻繁に利用しています。
中国本土では、水道光熱費の支払いや映画チケットの購入、タクシー配車など、生活に密着した多種多様なミニプログラム(小程序)や決済サービスがWeChat内で網羅的に提供されています。これに対し、香港向けサービス仕様(WeChat Pay HK)では、現在のところ実店舗での電子決済と個人間送金の2つのコア機能に制限されています。
香港は、アジアの金融ハブでありながらも、伝統的にオクトパスカード(八達通)やクレジットカードが圧倒的な強みを持っています。テンセントとアリババは、インバウンドによる認知拡大を梃子にして香港のローカル消費者にアプローチし、徐々に現地ドメスティック決済としての役割を確立しようとしています。
情報源: South China Morning Post、ChinesePayment翻訳編集
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