中国の春節休暇を前に、日本のコンビニエンスストアや小売り・飲食店が、中国人を中心とした訪日外国人観光客(インバウンド)の需要獲得に向けて精力的に動いている。多くの企業が、訪日客が母国で使い慣れたキャッシュレス決済サービスを導入することで、買い物の際のストレスを軽減し、自店舗への誘客に繋げようと考えている。
例えばローソンのデータによると、クレジットカード決済と比較した場合、外国人観光客の購入単価は約2,000円弱と、日本人客の約1.2倍に達するという。また、ファミリーマートでは、外国人客向けにおおでんや中華まんなどの購入方法を英語や中国語で説明したPOPを約100店舗に設置。ぐるなびは、中国や台湾のオンライン旅行会社(OTA)と提携し、事前決済型のレストラン予約サービスの提供を開始した。
しかし、Alipay(アリペイ)やWeChat Pay(ウィーチャットペイ)などのモバイル決済手段の導入は、本当に中国人観光客の来店動機(モチベーション)に直結しているのだろうか。
上記の調査データが示すように、免税対応や決済手段の多様化は、実は中国人観光客が特定の店舗を選ぶ直接の「来店動機」にはなりにくく、送客効果そのものは極めて限定的であることが明らかになっている。スマホ一台で決済できる環境は、旅行者のストレスを解消する「基本インフラ」としてはもはや必須であるが、「免税店だから」「Alipayが使えるから」という理由だけでわざわざ足を運ぶわけではない。
中国現地のインバウンド対策において、圧倒的な送客・プロモーション効果を発揮しているのは、WeChatの公式アカウント(微信公众号)や、中国最大の口コミサイト「大衆点評(Dianping)」を活用した情報発信である。これらは日本国内でも広告代理店等を通じて店舗情報の登録や広告展開が可能だ。一方で、決済アプリであるAlipay内の位置情報・店舗紹介機能「発見」は、中国国内でもSNSアプリに押され利用率が低迷しており、プロモーション効果としての貢献度は低い。
結論として、決済手段を揃えるだけで満足するのではなく、他店と差別化できる魅力的な店づくり(店舗独自の体験価値)に注力した上で、中国のSNSや口コミプラットフォームを通じた評判の拡散(バイラルマーケティング)を地道に行うことこそが、インバウンド誘客の正しい王道であると言える。
情報源:ChinesePayment
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