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    世界を席巻する中国のモバイル決済、海外進出を巡る大手2社の戦略

    中国国内で爆発的に普及し、日常生活に浸透したAlipayとWeChat Payのモバイル決済。急成長を遂げた中国の決済事業者が、中国人観光客の旺盛なインバウンド需要を追い風に、欧米やアジアなどのグローバル市場へ急速に進出している現状と、現地企業との提携戦略について詳しく分析します。

    世界展開を進める中国キャッシュレス決済網のグローバルイメージ

    欧米市場では、ICチップ搭載クレジットカードの標準規格である「EMV」の移行手続きやシステム変更が当初の計画より大幅に遅れている。これとは対照的に、中国ではスマートフォンを用いたQRコード決済によるキャッシュレス化が爆発的に進み、一気に世界の先端へと躍り出た。中国国内では、モバイル決済市場の絶対的覇者であるアリババ(Alibaba)グループの「Alipay(アリペイ/支付宝)」と、巨大なソーシャルインフラであるテンセント(Tencent)の「WeChat Pay(微信支付)」が、熾烈なシェア争いを繰り広げている。

    そして現在、この2大巨頭による決済戦争は中国国内に留まらず、グローバル市場へと舞台を移している。両社は今、海外旅行に出かける膨大な中国人観光客のウォレットシェアを奪い合うべく、グローバルステージで火花を散らしている。

    世界展開を進める中国キャッシュレス決済網のグローバルイメージ

    中国の有力IT市場調査会社「iResearch(アイリサーチ)」のデータによると、中国のモバイル決済年間取引総額は2015年にすでに10兆元(当時のレートで約170兆円)に達しており、2017年には22兆元(約370兆円)を突破する見込みだ。対照的に、Apple PayやSamsung PayといったNFC(近距離無線通信)型決済を展開する欧米大手各社が中国市場で苦戦した結果、2015年時点のそれらNFC決済の総取引額はわずか88億7,000万ドル(約1兆円弱)程度に留まっている。市場の調査報告は、「モバイル決済が中国人の衣食住すべてに浸透し、国民の行動習慣そのものを根本から塗り替えた」と結論づけている。

    この爆発的な国内成長により、中国は世界最大のモバイル決済大国となった。日々の買い物から個人間送金、各種オンラインサービスまでスマートフォンで完結することに慣れ親しんだ中国ユーザーは、海外旅行の際にも同様の決済体験を要求する。これが、中国の決済プロバイダが海外市場の開拓に注力する最大のドライバーである。

    主要な海外旅行先であるホテル、デパート、レストラン、観光スポットでのインバウンド決済環境は、急速に多様化している。かつては、中国の銀行間決済ネットワークである「銀聯(UnionPay/ユニオンペイ)」に対応することが中国人観光客受け入れのゴールドスタンダードであった。しかし現在、AlipayとWeChat Payの凄まじい海外進出攻勢により、世界中の決済ターミナルがQRコード読み取りに対応し始めている。両社は海外市場でシェアを拡大するため、各国の金融機関、決済代行事業者、POSベンダーとのアライアンスを急ピッチで進めている。

    現在、モバイル決済市場でトップシェアを走るAlipayは、航空会社と直接提携し、フライト中の機内Wi-Fiを通じたオンラインショッピングで決済を完了させる「未来のフライト」プログラムを推進している。さらに、海外店舗のPOSシステムにAlipayを組み込むための開発も支援している。Alipayが提携した現地の有力POS・決済代行パートナーには、欧州のインジェニコ(Ingenico)、コンカーディス(Concardis)、ワイヤーカード(Wirecard)、ザッパー(Zapper)のほか、東南アジアのアセンド(Ascend)、日本のリクルート(Recruit)、韓国のKICCなど、錚々たる決済インフラ企業が名を連ねる(参考:Alipayの海外進出戦略)。また最近では、米国の送金大手マネーグラム(MoneyGram)の買収提案も発表し、世界的な送金ネットワークの獲得に動き出した。

    Alipayにとって、各地域の決済市場に深い足場を持つ既存の金融パートナーと緊密に連携することは、開発の手間を省きつつ急速に自社ネットワークを拡張するための最も効果的な戦略である。現地店舗がAlipayを導入する際も、既存のPOSレジや決済端末のファームウェアをアップグレードするだけで済むような手軽な仕組みを整えている。

    一方、テンセントのWeChat Payは、全世界で月間アクティブユーザー数8億6,600万人(2016年第3四半期時点)を誇るWeChatという圧倒的なソーシャルコミュニティを武器にしている。WeChat内に店舗ページを設置し、公式アカウントを通じてユーザーに直接リーチし、そのまま決済へとつなげる仕組みを海外小売店に提案している。先行するAlipayの後を追う形で、タイの主要金融機関やオーストラリアのフィンテックベンチャーなど、各国の現地パートナーシップを通じたインフラ開拓を加速させている。

    情報源:JingDaily、ChinesePayment翻訳編集

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