全般検索

    WEEKLY DEEP TECH BRIEFING

    週刊ディープテック・ダイジェスト

    📖 最新号サンプル・過去号一覧を見る →
    ホーム 最新記事 注目企業
    Platforms Fintech

    世界のフィンテック市場をリードする中国企業のグローバル戦略

    欧州主要空港でのAlipay(アリペイ)による即時免税手続き開始など、中国フィンテック企業の海外進出が加速しています。KPMGやEYの調査を基に、中国が世界のフィンテック市場を牽引する背景にある強力な創業文化や投資熱、英国をはじめとする欧州との連携事例を詳しく解説します。

    🇯🇵 日本産業対照:
    空港でAlipayのモバイル決済による免税還付手続きを行う様子

    欧州主要国のハブ空港であるミラノ・マルペンサ、ミュンヘン、ヘルシンキの3空港において、中国人観光客向けにスマートフォンを使用したリアルタイムでの免税還付(タックスリファンド)サービスが開始された。これまでクレジットカード経由での払い戻しには数週間待つのが普通だったが、そのストレスが瞬時に解消されることになる。

    この即時免税還付サービスをリリースしたのは、Alipay(アリペイ)を運営するアント・フィナンシャル(Ant Financial、現アントグループ)である。これは中国のフィンテック企業がグローバル展開を加速させる上での新たなマイルストーンとなる。さらに先月、Alipayはフィンランド航空(Finnair)のモバイル決済プロバイダであるePassiと協力し、同社の航空機内における搭乗中のショッピングや各種サービスの支払いをモバイルで完結させるサービスも開始した。これは航空機内で提供された世界初のモバイル決済ソリューションでもある。

    世界のフィンテックとモバイルインターネット業界において、中国は今や巨大な市場規模、イノベーションスピード、高い人口密度を武器に市場を牽引している。2008年の世界金融危機以降、欧米で伝統的な銀行モデルへの不信感が芽生えた時期と重なるように、中国のデジタル金融エコシステムは驚異的なスピードで拡大した。

    中国のフィンテック市場の躍進を支えているのは、国家的な創業支援策と、莫大なベンチャーキャピタル資金の流入である。KPMGの報告書によると、世界のフィンテック企業トップ10のうち5社を中国企業が占めている。また、アーンスト・アンド・ヤング(EY)の調査レポートでは、世界に27社存在するフィンテックの「ユニコーン企業(企業評価額10億ドル/当時のレートで約1,100億円以上の未上場新興企業)」のうち、中国には8社が集積しており、前年には計20億ポンド(当時のレートで約2,800億円)以上の巨額投資がこれら中国企業に投じられたと指摘されている。

    欧州各国もこの大きな潮流に追随しようとしている。イギリス政府は、国境を越えたフィンテック投資を支援するために中国との協力協定に調印した。また、アイルランドのマーフィー金融サービス大臣は、中国が推進する「一帯一路(Belt and Road)」構想の沿線国における市場開拓を目指し、アイルランドのフィンテックスタートアップ代表団を自ら率いて訪中した。

    同時に、中国のフィンテック企業によるイギリス・欧州現地への直接進出も始まっている。ロンドンに欧州本社を設立した中国金融情報大手のWind Financial Information(万得資訊)や、データ解析スタートアップのBBD(数聯銘信)などがその代表例である。

    独自のビッグデータ解析アルゴリズムで知られるBBDは、英欧市場に適した新しい企業信用評価モデルを開発しており、今後、クラウドファンディング向けの審査システムや企業の財務リスクマネジメントサービスを展開する予定だ。

    一方、「中国版ブルームバーグ」と呼ばれるWind Financial Informationは、株式、債券、投信、コモディティなど、成長著しい中国やアジアの資産データを提供することで、欧州投資家向けのデータライセンスビジネスを開始した。世界の機関投資家の間で中国市場への関心は急速に高まっており、中国A株がMSCI指数に採用される見通しとなった今、金融データのグローバル需要は拡大の一途を辿っている。

    💡 あわせて読みたい関連分析:アリペイの画期的金融サービス「余額宝」がもたらす決済革命

    +1
    リンクをコピーしました
    ✓

    執筆・編集:中国テック番犬 編集部

    孔明合同会社(KongMing LLC)/ 先端技術リサーチチーム
    10年の取材実績

    中国決済黎明期から10年以上の取材実績を持つ金融DX実務家、元IBMのエンタープライズITアーキテクト、外資系戦略コンサルティングファーム出身のビジネスアナリスト、およびAI・先端テックスタートアップ陣によって構成される専門リサーチ集団。現地の公式発表・法定開示・登記・特許・学術論文を直接精査し、日本の産業界へ向けて構造的で偏りのない客観インサイトを発信しています。

    コメント

    ...
    コメントを読み込んでいます...

    コメントを投稿する

    ※ メールアドレスは公開されません。

    💡 Googleでログインすると、お名前・メールの入力と認証コードが不要になります。