中国銀聯(ユニオンペイ / UnionPay)の最大の狙いは、混乱する決済業界における統一基準(デファクトスタンダード)の獲得だ。
当時、アリペイ(Alipay / 支付宝)とウィーチャットペイ(WeChat Pay / 微信支付)のQRコード決済は、街中のあらゆる支払シーンで利用されていた。スキャン決済や公式アカウント連携決済など、一部の仕様は実質的に標準化されていたものの、セキュリティ規制やリスク管理はアリペイとWeChatそれぞれの自社ルール(クローズドな仕様)で运用されており、業界全体を統合する規範は存在しなかった。銀聯はこの空白領域に焦点を当て、「中国銀聯二次元コード決済セキュリティ規範」および「中国銀聯二次元コード決済アプリケーション規範」の2つのガイドラインを打ち出した。
銀聯が提案する2つの業界仕様
- 「セキュリティ規範」 安全管理の観点から、QRコード、モバイル端末、決済プラットフォームなどのセキュリティ要件を規定。支払口座情報と資金決済の安全性を確保する。銀聯グループおよび提携金融機関がQRコード決済を提供する際の、システム設計や製品開発の共通基準とする方針だ。
- 「アプリケーション規範」 デジタル署名に基づき、QRコードの具体的な利用シーンとセキュリティメカニズムを定義。金融機関による決済向けの共通規格を提示することで、各銀行や決済代行会社が安全にQRコード決済機能を開発できる標準基盤を提供する。
NFC決済「QuickPass」との補完関係と対抗策
これまで銀聯が多大な資金を投じて推進してきたNFC決済サービス「QuickPass(閃付)」は、スマートフォンなどのモバイル端末にNFC機能が標準装備されることで普及が加速すると期待されていた。しかし、現実には実装コストが非常に低いQRコード決済(アリペイとWeChat)が驚異的なスピードで浸透してしまった。
中国人民銀行が発行した当時(2016年第3四半期)の決済状況レポートによると、従来の物理的な銀行カード決済の取引成長率は頭打ちになっていた一方、モバイル決済は前年比数十パーセントという驚異的な伸び率を維持していた。
銀聯は、アリペイやWeChatにこれ以上市場シェアを奪われないよう、決済インフラが十分に整っていない中小規模の加盟店に対しては低コストなQRコード決済方式を提示し、既存のカード決済のアクワイアラ(加盟店契約会社)を通じて導入を支援。一方で、トランザクション数と決済金額が大きい大手チェーンストアなどに対しては、セキュリティ強度の高いNFC型の「QuickPass」を強力に推し進めるという、二面的なアプローチで主導権の維持を図る狙いとみられる。
情報源:ChinesePayment.com
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