2016年上半期のQRコード・モバイル決済動向
2016年上半期、中国におけるモバイル決済(QRコード決済)市場は、国内規制の強化とグローバル進出という二大トレンドを中心に急速な変化を遂げました。その最新動向をまとめます。
中国国内の規制動向:人民銀行による「支払い口座実名制」の開始
中国の中央銀行である中国人民銀行は、マネーロンダリング防止や消費者保護を目的に、2016年7月1日よりサードパーティ決済口座に対する厳格な実名制規制を施行しました。
- 口座の3分類化: すべての決済口座は本人確認の強度(提出書類の種類など)に応じて3つのカテゴリに分類されます。
- 決済限度額と件数の制限: 分類された口座カテゴリごとに、年間または日々の決済件数や限度額が厳格に制限されます。
アリババとテンセント、二大決済アプリの利用状況
規制の強化が進む中でも、中国の2大モバイル決済プラットフォームのユーザー規模は拡大を続けています。
Alipay(支付宝)の状況
- 実名認証ユーザー数: 約4億人に到達。
- モバイルアプリ(Alipay Wallet)のアクティブユーザー: 2億7,000万人を突破。
- オフライン決済実績: そのうち約1億4,000万人のユーザーが、実店舗(オフライン)でのQRコード決済を利用した経験があります。
WeChat Pay(微信支付)の状況
- 総ユーザー数: 約4億4,000万人に達しています。
- 銀行口座連携済み(実名化)ユーザー: 3億人を突破。
- オフライン決済実績: 1億人以上のユーザーがオフライン店舗でのQRコード決済を利用。
- 加盟店ネットワーク: オフラインでWeChat Payを導入した店舗数は30万店舗を超えています。
Alipayの海外進出・グローバル展開
アリババグループの金融会社であるアント・フィナンシャル(Ant Financial)は、中国人観光客のインバウンド消費の取り込みと、現地決済インフラの構築を目的としたグローバル展開を加速しています。
- タイ市場への進出: 現地のマイクロファイナンス・デジタル決済会社「Ascend Money(アセンド・マネー)」の株式20%を取得。
- 欧州への橋頭堡: ドイツの決済大手「Wirecard(ワイヤーカード)」の株式25%の取得計画を進行。
- 欧州でのアライアンス: フランスのWorldlineと提携し、欧州市場での加盟店決済ゲートウェイサービスの提供で合意。
- 「Alipay+」海外戦略の始動: アジア、欧州、北米をカバーするグローバルアライアンス戦略を発表。韓国のKICC、日本のオリックス、シンガポールのフードネットワークなどが初期パートナーとして参画。世界70以上の国と地域で、主要空港やデパート、レストランを中心に7万以上の加盟店ネットワークを構築しました。
WeChat Payの海外展開動向
テンセントも、WeChatの強力なコミュニケーション機能を武器に海外進出を本格化しています。
- 日本市場への本格展開: 年内に日本国内で1万店舗の加盟店を開拓する目標を掲げ、推進中。
- タイ市場での摩擦: タイ中央銀行(BOT)が、現地でWeChat Payが正式な決済事業ライセンスを取得せずに決済サービスを提供していることに対し、適法性に関する警告を発信。
- サービサー支援スキーム: プラットフォームパートナーや決済代行業者を支援・育成する「スパークプログラム(星火計画)」をローンチ。
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