相次ぐ店舗閉鎖により瀬戸際に立たされているイトーヨーカドー(中国名:華堂商場)ですが、その苦境はまだしばらく続くとみられます。2016年5月31日に明らかになったところによると、ヨーカドー大興店が7月1日に閉店することが決定。これにより、11年の歴史をもつ北京市のヨーカドーはわずか4店舗を残すのみとなりました。
当時、中国都市部ではモバイル決済やEC、デリバリーサービス(O2O)といった小売のデジタル変革(DX)が急速に進展していました。しかし、北京のヨーカドーはこの激しい変化に適応できず、2008年の業績ピーク以降、長期にわたる経営悪化に苦しんでいます。赤字は積み上がり、ヨーカドーの北京市場からの全面撤退は秒読み段階と噂されています。
相次ぐ閉店と成都・北京チームの明暗
大興店が営業を停止すると、北京におけるヨーカドーの店舗は十里堡店、亜運村(オリンピック村)店、豊台北路店の総合スーパー3店舗と、世茂広場・工三の食品館のみとなります。2014年以降、望京店、北苑店、西直門店、右安門店が相次いで閉鎖に追い込まれました。
閉店の主因は、急速に変化する顧客ニーズへの対応の遅れと、不採算によるコスト高から赤字幅が拡大したことです。
ヨーカドーの中国進出当初からの不動産パートナーである陽光新業地産の担当者は、以下のように分析しています。
「北京ヨーカドーの業績悪化は、経営陣の戦略的判断の誤りにあります。ヨーカドーには中国国内に『成都チーム』と『北京チーム』の2つの運営陣がいました。成都市のチームが地域密着型の店舗開発で大成功を収めたのに対し、北京チームは7〜8年前に適切な市場戦略の転換を行えず、成長機会を逸してしまいました」
現在、北京に残る4店舗はいずれも赤字とされており、サプライヤーの離脱も進むという悪循環に陥っています。
小売小売デジタル化の荒波と競合外資の動向
中国に進出した外資系小売大手の間でも、明暗が分かれています。
- カルフール(Carrefour)、ウォルマート(Walmart)、メトロ(METRO):中国進出20周年を迎えるにあたり、ECと実店舗の融合(O2Oサービス)の強化、都市型コンビニ形態の出店、デジタル決済の全面導入などを進め、顧客ニーズへの適応に躍起になっています。
- イオン(AEON):大型総合スーパーから商業不動産(イオンモール)へと事業の中心をシフトさせており、中国国内でショッピングモール50カ所の開設を目指すなど、異なるアプローチで生き残りを目指しています。
日系デパートや他の小売業態も苦戦しています。コンビニエンスストア(セブン-イレブン)は直営店主体の北京・成都と、フランチャイズ主体の上海・広州で展開スピードに差が生じています。上海高島屋は体験型店舗やレストランの強化を図ったものの経営は厳しく、瀋陽市場の伊勢丹はすでに撤退を余儀なくされました。
唯一業績が底堅い「世茂広場・工三」のヨーカドー食品館も、ビル自体のオーナーがテック企業のLeEco(楽視)に買収されたことにより、将来的な店舗計画の変更や撤退の不確実性に直面しています。デジタル対応の遅れと意思決定の遅さが、かつての流通巨人を中国の首都・北京で孤立させる結果となっています。
情報源:北京商報、人民網
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