春節(旧正月)が間近に迫り、中国の消費者の間で国境を越えた「越境消費」への熱が再び高まっている。最新データによると、2015年の中国人海外旅行客数はのべ1億2000万人に達し、銀聯(UnionPay)カードの海外決済額だけでも1兆1000億元(当時のレートで約19兆5430億円)を超え、海外における消費規模は過去最高を更新した。
米オンライン決済サービス大手PayPalと調査会社Ipsosが共同発表したグローバル越境EC取引報告書によると、中国のネットショッピング利用者の35%が2015年に海外通販(越境EC)で商品を購入したと回答しており、2014年の26%から大幅に上昇している。
急成長の裏で顕在化する消費者トラブル
一方で、越境消費の盛り上がりの影では様々な課題も顕在化している。中国消費者協会が発表した分析報告書によると、近年、越境消費に関連する苦情が急増している。2015年に寄せられた苦情は主に以下の3点に集中していた。
- 海外旅行先で一部の旅行代理店やガイドが旅行者を欺き、高額な商品を強制的に購入させる行為
- 越境ECや代理購入(代購)で購入した商品の品質問題(模倣品や不良品)
- 商品のアフターサービスや返品交換対応の不備
中国国際貿易促進委員会研究院の趙研究員は、「越境消費の規模が急速に拡大するにつれ、以前から存在していた消費者の権利保護や取引の安全性に関する問題がより頻繁に表面化するようになった。これらのトラブルが常態化しつつあるため、消費者は理性を欠いた衝動買いや無計画な購入を避けるよう、より警戒を高める必要がある」と指摘する。
趙研究員はさらに、「国民が豊かになり生活水準が向上する中で、人々はこれまでとは異なる消費体験やより質の高い製品を求めるようになっており、越境消費はその多様化するニーズを満たす役割を果たしている」と分析する。
国内価格と海外価格の「逆転現象」
同時に、価格要因も多くの消費者が海外での購入を選択する大きな動向となっている。一部の輸入ブランド品は、中国国内で高額な関税や流通コストが上乗せされるため、販売価格が大幅に引き上げられる傾向にある。
中国紡績工業連合会の高勇副会長は、「中国が生産面で圧倒的な強みを持つはずのスニーカーやアパレル製品であっても、同一ブランドの同一製品が、輸送コストを加味しても海外の店頭で買った方が中国国内で買うより安いという逆転現象が起きている。これは市場構造として是正されるべき異常な状態だ」と述べる。
(※訳者注:当時の日本では訪日中国人による百貨店や家電量販店での「爆買い」がブームとなっていましたが、中国国内では高額な関税や代理店手数料によって海外ブランド品や日用品の価格が高騰しており、消費が海外に流出する原因となっていました)
趙研究員は、「供給と需要のギャップが、越境消費の急速な発展を促している。国内の供給体制では、国民の消費アップグレードに伴うニーズ、特に高品質な製品やサービスの需要を満たしきれておらず、結果として海外に目を向けざるを得ないのが現状だ」と説明する。
「供給側改革」による消費の国内回流と関税引き下げ
流出した消費をいかにして中国国内に呼び戻すか(国内回流)が、政府や専門家にとっての急務となっている。専門家は、「消費者のニーズに合致した魅力的な製品やサービスを国内で供給できれば、海外へ流出していた購買力の一部を国内市場へ引き戻すことができる」と強調する。
現在、中国政府は輸入日用品の関税引き下げ措置を積極的に進めている。2015年6月1日より、衣類、フットウェア、スキンケア用品などの一部の日用品の輸入関税を引き下げ、その平均引き下げ幅は50%を超えた。さらに2016年1月1日からは、スーツケースなど16品目の日用品の関税を再び引き下げた。2016年度の「関税実施方案」では、家庭用カートリッジ式浄水器の暫定税率が12%から5%へと大幅に引き下げられている。
また、ブランド力と製品品質の向上も不可欠である。中国軽工業連合会の王世成副会長は、「中国企業が海外の一流ブランドをM&A(合併・買収)したり、優れた技術やデザイン、販売網を取り込んだりすることで、国内産業全体の発展とブランド価値の向上を加速させるべきだ」と述べる。
趙研究員は、「消費の適切な国内回流を促すためには、サプライサイド(供給側)改革において流通と生産の両面を改善する必要がある。流通分野では中間コストを削減し、ディスカウントストアなどの新業態を発展させることが重要だ。生産分野では技術革新やデザインの洗練を通じて製品をアップデートし、消費者に優れた体験を提供する。こうした国の政策支援と消費者の意識の成熟により、今後はある程度の消費が国内に回帰していくだろう」と展望を語った。
情報源:人民網
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