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    「WeChat Pay」上陸、現金・銀聯に次ぐ第3の決済手段へ

    訪日中国人のインバウンド消費を狙い、大丸松坂屋が「WeChat Pay」を初導入。現金や銀聯カードの海外引き出し規制強化が進むなか、中国人の主要決済手段であるスマホ決済が日本上陸した。三井住友信託銀行との提携スキームによる、新たな「第3の支払い手段」のインパクトを解説する。

    「WeChat Pay」上陸、現金・銀聯に次ぐ第3の決済手段へ

    中国経済の減速懸念が囁かれるなかでも、訪日外国人観光客による「爆買い」の勢いは衰える気配を見せていない。中国の建国記念日にあたる「国慶節」の大型連休(10月1〜7日)期間中も、日本の百貨店の免税カウンターは対応に追われるスタッフで溢れかえった。このインバウンド商戦に合わせ、大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ.フロントリテイリングがいち早く導入したのが、中国人観光客向けのスマートフォン決済システムだ。決済の手間を劇的に削減するだけでなく、現金、銀聯(UnionPay)カードに続く「第3の決済手段」として小売業界の熱い視線を集めている。

    9月30日、大丸梅田店の化粧品売り場。家族から頼まれた化粧品など約6万円分を購入した台湾系男性は、この日スタートしたばかりのスマホ決済システムの説明を受けると、すぐにスマートフォンを取り出し決済を行った。

    ここで導入された「WeChat Pay(微信支付)」は、メッセージングアプリ「LINE」に類似したコミュニケーション機能を中心に、中国国内でアクティブユーザー約6億人を誇る巨大SNS「WeChat(微信)」のインフラを活用したモバイル決済サービスである。2013年のサービス開始以来急速にシェアを伸ばしており、4億人以上が利用している。中国国内ではセブン-イレブンやユニクロなどの大手チェーンもいち早く導入し、日常生活のデファクト決済となっている。

    大丸松坂屋がこの決済システムを導入したのは、インバウンド訪日客の集中する大阪(心斎橋・梅田)、東京、京都、札幌などの主要8店舗だ。決済方法は極めてシンプルで、店舗側がiPadなどのタブレット端末に金額を入力し、利用者が自身のスマートフォンのアプリ上に表示したQRコードをカメラで読み取るだけ。数秒で利用者の銀行口座から代金が引き落とされる。

    店頭の販売スタッフは「多言語表示のタブレットを活用することで、言葉が通じなくてもスムーズに決済方法を説明できる。また、慣れない日本円の小銭を数える手間がなくなり、レジの混雑緩和にも役立っている」と実感を語る。

    中国では、WeChatの「シェイク(端末を振る)」機能を活用した大規模な割引キャンペーンなどのマーケティング手法が定着している。テンセント(騰訊)によると、中国の国民的テレビ番組「春節聯歓晩会」の放送中には、視聴者が一晩でスマートフォンを累計72億回シェイクしたというデータもあり、単なる決済を超えた巨大なプロモーション機能も有している。

    日本国内での導入推進にあたり、決済資金の日本国内への円建て入金スキームを構築した三井住友信託銀行の担当者は「現金や銀聯カードといった既存のチャネルとは異なる、中国で急速に拡大する民間のモバイル決済網と直接繋がるインフラを日本で整備できた意義は大きい」と話す。

    その背景には、中国特有の外貨流出規制がある。実際に、中国政府は2015年10月より、銀聯カードを利用した海外での外貨引き出し上限額を年間10万元(約190万円)に制限する新規制を導入するなど、海外での爆買い消費に一定の歯止めをかける動きも見せ始めている。

    このような規制のなか、銀行インフラを介さないスマホ決済システムは、規制の抜け道や新たなスマート決済手段として、大手飲食チェーンやディスカウントストア、ドラッグストアなどでも導入検討が急速に進んでいる。次の春節(旧正月)や国慶節商戦では、日本の街中の至る所で中国人観光客がスマートフォンを操作し、スマートに買い物をする姿が当たり前になるかもしれない。

    (情報源:産経新聞)

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