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    世界で50億枚を突破した銀聯カード、海外市場進出の本気度

    世界での発行枚数が50億枚を突破し、決済額シェアで米Visaを抑え世界最大手となった中国銀聯(UnionPay)。中国人のインバウンド需要対応から一歩進み、タイや韓国、日本など海外のローカル住民向け発行を強化して「世界のカード」を目指す、その戦略と激化する覇権争いを追う。

    世界で50億枚を突破した銀聯カード、海外市場進出の本気度

    中国のカード決済サービス最大手である「中国銀聯(UnionPay)」が、中国人以外の海外現地ユーザーの獲得に本格的に乗り出している。すでに韓国では現地でのカード発行枚数が1,400万枚に達し、タイでは年内に前年比5割増となる150万枚の発行を目標に据える。インバウンド需要の旺盛な日本でも、コンビニエンスストアとの提携を通じて利用拡大を後押しする。世界150カ国・地域の2,600万店で利用できる加盟店網を武器に、中国人のための決済手段から「真のグローバルカード」への脱皮を狙う。

    ICチップのデファクト規格を狙うタイ市場での「野望」

    タイの小売店の約7割で利用可能とされる銀聯カード。財布代わりに同カードを携えてやってくる中国人観光客にとって極めて利便性の高い環境が整っているが、中国銀聯には決済手数料の獲得にとどまらない別の「野望」がある。それがタイのローカル住民への銀聯カードの普及だ。

    その布石として、タイ銀行協会が発表したクレジットカードやデビットカードに搭載するICチップの統一規格において、中国銀聯の技術規格が採用された。これにより、タイ国内の銀行が今後発行するICチップ搭載カードは、中国国内はもちろん、世界中に広がる銀聯の加盟店ネットワークでそのまま利用可能になる。

    米Visaを凌駕する決済額シェア

    中国銀聯が発行する銀聯カードの発行枚数は全世界で50億枚を突破し、昨年の年間決済額は41兆元(約780兆円)にのぼる。英国の調査会社ユーロモニターによると、米Visaの決済額シェアは2010年の38%から2014年には31%へ縮小した。一方で、中国銀聯は同期間に14%から33%へと急拡大し、決済額ベースで世界シェア首位の座を奪取した。

    しかし、中国国外での銀聯カード発行枚数は4,600万枚と、日本のJCBカードの海外発行枚数(約2,000万枚)は上回るものの、銀聯全体の比率から見れば1%未満に過ぎない。依然として利用者の大部分は中国本土の住民である。

    これまで同社は、海外へ渡航する中国人旅行者の利便性向上のため、海外の加盟店網を広げることに注力してきた。しかし、中国国内のホルダーによる海外利用は旅行時などに限定されるため、グローバルなインフラ網を維持・発展させるためには、現地住民(非中国人)のユーザー獲得が長期的な課題となっている。

    日本市場へのアプローチとインバウンド対応の深化

    銀聯カードが使える小売店が約40万店に達している日本市場でも、新たな動きがあった。2015年10月1日より、国内で約1万8,000店舗を展開するコンビニ大手のセブン-イレブン全店で銀聯カードの取り扱いが開始された。

    ローソンやファミリーマートといった競合他社も、銀聯対応を通じて訪日観光客の取り込みを急いでいる。一方で、銀聯の国際部門を担う銀聯国際(UnionPay International)の蔡剣波最高経営責任者(CEO)は「日本の大手コンビニとの全面提携は、将来的に日本人が銀聯カードをより身近に感じるきっかけになる」と述べ、将来的には日本国内のカード発行とローカル利用の増加に期待を示した。現在、日本国内では三井住友カードや三菱UFJニコスなどが銀聯カードを発行している。

    アジア各国の決済インフラとの提携戦略

    銀聯はタイや日本以外の周辺国でも提携を急ピッチで進めている。ミャンマーでは同国の決済ネットワーク最大手ミャンマー・ペイメント・ユニオン(MPU)と業務提携し、年内に銀聯とMPUの両ブランドを冠したデビットカードを発行する予定だ。

    また、すでに発行枚数が1,400万枚を超えている韓国市場では、中国との活発なビジネス往来に伴う出張者や駐在員などの韓国人が牽引している。韓国のカード業界関係者は「海外での決済時に追加の手数料がかからない利便性とコストメリットが、韓国人ユーザーへの普及に繋がっている」と分析する。

    ユーロモニターの最新統計によると、アジア太平洋地域のカード決済額は2016年に12兆2,505億ドル(約1,470兆円)に達し、世界全体(24兆1,181億ドル)の過半数を占める見通しだ。世界で最も成長するこの決済市場を巡り、VisaやMastercardといった米決済大手も攻勢を強めている。

    Visaは、カードを端末にかざすだけで支払いが完了する非接触決済「Visa payWave(現:Visaのタッチ決済)」の導入を進め、アジアにおける決済スピードの向上と新規需要の開拓を図っている。また、日本のJCBは、銀聯やVisaの手がまだ十分に届いていないアジア新興国での独自発行にリソースを集中させる戦略だ。巨大な発行枚数を背景にグローバル展開を加速させる中国銀聯を軸に、キャッシュレス決済をめぐる世界の主導権争いはさらに激しさを増していくだろう。

    (情報源:日本経済新聞)

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