中国の決済サービス二大巨頭であるアリババ(Alibaba)とテンセント(Tencent)による、インターネット金融(フィンテック)分野の主導権争いが急速に激化している。
アリババ傘下のアント・フィナンシャル(当時・小微金融サービス集団)が預金・MMF連携サービス「Yue’Bao(余額宝)」の運用残高が2,500億元(当時のレートで約4.5兆円)を突破したと発表した直後、テンセントはWeChat(微信)アプリ内で利用できる対抗サービス「Licaitong(理財通)」をローンチ。初日に販売された投資商品が即日完売する事態となった。これにより、検索大手の百度(Baidu)を加えた「BAT」3社がネット金融分野で本格的に対峙する構図が完成した。
WeChat内で完結する資産運用サービス「理財通」の登場
2014年1月15日夜、WeChatの「My Card」メニュー内に、新しい資産運用サービス「理財通」がテスト公開された。
ユーザーインターフェースは非常にシンプルで、「預金(購入)」と「引き出し(解約)」の2つの操作のみ。当時提示されていた直近7日間の年換算収益率は6.4350%と、銀行の定期預金利利回りを大幅に上回る高水準に設定されていた。同商品の運用は、中国有数の大手投資信託会社である「China Asset Management(華夏基金)」が担当している。
情報に敏感なユーザーがWeChat Pay(微信支付)を通じて即座に購入手続きを行った結果、同日夜のうちに購入枠上限に達し、一時売り止めとなるほどの反響を呼んだ。
アリペイ「余額宝」の圧倒的規模と業界構造の劇変
テンセントが理財通をローンチした同じ日、アリババのAlipay(支付宝)と提携先の「Tianhong Asset Management(天弘基金)」は、余額宝の累計残高が2,500億元(約4.5兆円)を突破し、顧客口座数が4,900万件を超えたと発表した。
余額宝の登場により、それまで無名に近い小規模な投信会社であった天弘基金は、わずか半年の間に華夏基金を抜いて中国国内で最大の預かり資産を持つファンド会社へと急成長した。
この成功モデルを追随すべくローンチされたテンセントの理財通は、WeChatが抱える膨大なチャットユーザーを直接マネーマーケットへと誘導するトリガーとなり、中国の金融市場において個人資金が銀行預金からインターネット金融商品へと大移動する「金融 disintermediation(脱媒介)」の動きをさらに加速させることになった。
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