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    中国の生体認証決済をリードした「指付通」のビジネスモデル

    2000年代半ばから中国で指紋認証を用いた決済サービス「指付通」を展開した立佰趣(Live By Touch)のビジネスモデルを解説。カードもスマートフォンも不要で、指一本で決済を完了する独自の生体認証インフラと銀行提携の仕組みに迫ります。

    指紋決済システム指付通の利用イメージ
    指紋決済システム指付通の利用イメージ

    「指付通(Pay By Finger)」とは、物理的なカードやモバイル端末を一切介さず、人間の「指紋」のみで決済を行う画期的な生体認証決済サービスだ。生体認証技術の社会実装を目指す上海のベンチャー企業「立佰趣(Live By Touch)」が立ち上げた。同社は2006年に上海で設立され、2011年には中国国際金融(CICC)、レノボ・キャピタル、CDHインベストメンツといった中国の有力投資機関から戦略的出資を受け、決済分野の新たな旗手として注目を集めた。

    当時、生体認証を用いた決済システムは世界的にも極めて先進的な試みであった。日本国内では銀行ATMでの静脈認証などがセキュリティ強化策として導入されていたものの、小売店舗での日常的な買い物決済に指紋を直接紐付けるスキームは珍しかった。「指付通」は、ユーザーが事前に指紋情報と銀行口座(クレジットカードまたはデビットカード)を紐付けることで、サインも暗証番号入力も不要な「完全デバイスレス」の支払い環境を実現した。プロジェクトは2010年に本格稼働し、商業展開が開始された。

    「指付通」の利用手続きプロセス

    ユーザーが「指付通」を利用するには、事前に以下のいずれかの方法で指紋と決済用カードの紐付け契約を行う必要があった。

    | 登録方法 | 手続手順 | 必要要件・特徴 | | 自宅での指紋登録サービス | 1. カスタマーサービスで「無料訪問指紋登録」を予約
    2. 担当スタッフが訪問し専用端末で指紋をスキャン・登録 | 無料訪問対応 | | オンライン銀行連携 | 1. 公式サイトにログイン
    2. ICBC等の個人ネットバンキングで安全な本人認証を実施
    3. 口座情報とスキャン済み指紋データを連携 | USBキー(U盾)やワンタイムパスワードを利用 | | 銀行支店対面手続き | 1. 提携銀行の指定窓口に身分証と銀行カードを持参
    2. 専用スキャナーで指紋登録し決済用「識別コード」を設定
    3. 利用規約に同意し即時有効化 | 銀行店頭での対面手続き |

    モバイル決済(QRコード決済やNFC決済)が本格普及する以前の中国において、この「指一本で買い物ができる」生体認証インフラは、デバイスフリーな未来の決済体験として大いに期待された。しかし、その後スマートフォンとQRコード(AlipayやWeChat Pay)の爆発的な普及、および決済端末の導入コストや生体データのプライバシー管理といった課題により、市場の主導権はモバイルウォレットへと移行していくことになる。

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