
- 清華大学AI研究院発の中国スタートアップ「生数科技(ShengShu Technology / シェンシュー・テクノロジー)」が開発した動画生成モデル「Vidu」が、プロの映像制作言語をモジュール化したアセットライブラリを公開
- 提示ワード入力欄で「@」を入力するだけで、カメラワーク、照明、エフェクト、表情など8つの映像表現要素を簡単に指定・結合可能
- キャラクターの一貫性を保持する「サブジェクトライブラリ」により、従来のAI動画生成で課題だったブレを克服し、高品質なクリエイティブを迅速に制作
近年、生成AIは特定の専門知識を瞬時に呼び出す「スキル化(モジュール化)」の方向へ進化しています。このアプローチを動画生成分野に本格導入し、映像制作のワークフローを再定義しようとしているのが、中国のAI動画生成スタートアップ生数科技が展開する「Vidu」です。
Viduは、プロのカメラワークや演出表現を「@」記号付きのコマンドとしてライブラリ化し、それらを組み合わせるだけでハリウッド映画級の映像を生成できる「アセットライブラリ機能」およびキャラクターを一貫して追跡する「サブジェクト(主体)ライブラリ機能」を発表しました。
今回は、この新機能がどのような動画生成体験をもたらすのか、その詳細を解説します。
1. 映像制作の視覚言語を「@コマンド」で呼び出す
Viduは、映画製作で用いられる「カメラワーク(中国語:運鏡)」「構図」「ストーリー展開(叙事)」「スタイル」「シーン」「演技(表情)」「エフェクト・アクション(中国語:招式)」「雰囲気」の8つのカテゴリをモジュールとして標準化しました。
ユーザーはプロンプトの入力欄で「@」を入力すると、以下のようなアセットの候補がポップアップ表示され、マウスのクリックやタップで簡単に選択・構築することができます。
- カメラワーク(運鏡):
@推鏡頭(ズームイン)、@摇鏡頭(パンニング)、@360度展示(回り込み) - 演技・表情:
@癲狂大笑(狂気的な大爆笑)、@大げさに目を丸くして泣く表情 - アクション・必殺技エフェクト(招式):
@百花繚乱分身(分身エフェクト)、@氷雨術(氷の魔法エフェクト)
これにより、例えば [キャラクター画像] @ズームイン + @サイバーパンク風 + @激しい雷雨 のようにアセットを組み合わせてプロンプトを入力するだけで、ディレクター、カメラマン、VFXアーティストがコラボレーションしたかのような高品質な映像を数分で出力することができます。
2. 表情と一貫性を保つ「サブジェクトライブラリ」の威力
従来のAI動画生成(SoraやRunway Gen-2など)における最大の弱点は、同じキャラクターをシーンをまたいで登場させた際に、顔の形や服が変わってしまう「一貫性の欠如(ハルシネーション)」と「感情表現の乏しさ」でした。
Viduはこの問題に対して、キャラクターの画像データをあらかじめ「サブジェクト(主体)ライブラリ」に登録し、そのキャラクターに対して特定の感情コマンドを適用する仕組みを採用しました。
これにより、「キャラクターAが@狂気的に大爆笑する」「キャラクターBが@悲しみの表情を浮かべる」といった複雑な演技を、キャラクターの顔立ちを全く崩すことなく正確に映像化できるようになりました。これは映像クリエイターが実務でAIを採用する上で、極めて重要な進化です。
3. 日本の映像制作やインディーゲーム開発への示唆
日本国内においても、アニメーション、特撮、インディーゲームなどのクリエイティブ分野で、コスト削減と制作スピードの向上が求められています。Viduのモジュール化アプローチは、以下の点で日本のクリエイターに大きなメリットをもたらします。
- プロット・絵コンテ作成の超高速化
映画やテレビCMのコンペ用にイメージ映像(VTRコンテ)を作成する際、従来のCG制作や実写調達に比べて数十分の一の時間とコストで、演出意図を反映した高精度な絵コンテ映像を制作可能です。 - インディーゲーム開発のプロモーション映像制作
限られたリソースでゲーム開発を行う個人や小規模チームが、ViduのAPI(Vidu開発プラットフォーム)を自社の制作フローに組み込むことで、開発中の3Dモデルやキャラクターイラストから、直接映画のような高クオリティのティザームービーを作り出すことが可能になります。
まとめ
Viduが提供する映像言語のモジュール化は、動画生成AIを単なる「ランダムな映像のお絵描きツール」から、プロがコントロール可能な「高性能な映像制作エンジン」へと昇華させました。
日本国内のクリエイティブ産業でも、3Dモデリングや手描きアニメの技術に加え、こうしたAIによる迅速な表現のモジュール化ツールを早期にワークフローに取り入れることが、今後の国際競争力を高める鍵となるでしょう。
興味のある方は、ぜひViduの公式ページ(vidu.cn)から、その高度なビデオ生成を体感してみてください。
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