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    「DapuStor R6060」登場:245TBの超大容量SSD

    中国のストレージ企業DapuStor(大普微)が、最大容量245TBを誇るエンタープライズ向け第2世代QLC SSD「R6060」を発表。PCIe 5.0対応自社開発コントローラ「DP800」やFDP技術を搭載し、AIデータセンターの温データ処理を革新するスペックと技術を解説します。

    「DapuStor R6060」登場:245TBの超大容量SSD

    中国のエンタープライズ向けストレージ新興企業であるDapuStor(大普微:ダプスター)が、第2世代のQLC(Quad-Level Cell)フラッシュを採用した企業向けSSD「DapuStor Haishen5 R6060」を発表しました。

    最大容量は単一ドライブとして業界最大級となる「245.76 TB」に達し、PCIe 5.0×4インターフェースと自社開発コントローラを搭載したその圧倒的なスペックは、AIデータセンターにおける大容量・省電力ストレージの需要に応えるものとして注目されています。

    QLC SSDがエンタープライズ市場で採用される背景

    従来、QLCメモリチップは、TLC(Triple-Level Cell)やSLC(Single-Level Cell)に比べて「データの書き込み寿命(耐久性)」や「書き込み増幅(Write Amplification:余分な内部書き込みが発生する現象)」の面で劣るとされ、高い信頼性が求められる企業向けサーバー市場では敬遠されがちでした。

    しかし、QLCには、1セルあたり4ビットを格納できるため、同じ物理スペースに圧倒的な大容量を高密度で実装できるという優れたコスト効率のメリットがあります。

    近年、AIモデルの学習や大規模なデータ分析クラスタの稼働に伴い、データセンターが扱うデータは、めったにアクセスされない「コールドデータ」から、頻繁に読み出されるものの長期間保存が必要な「ウォームデータ(温データ)」へと急速にシフトしています。QLCは、従来の機械式ハードディスク(HDD)よりも消費電力が圧倒的に低く、ランダムアクセス性能(IOPS)が格段に高いため、このウォームデータの格納層として非常に適合しています。

    DapuStor R6060の主要な技術スペック

    「DapuStor R6060」は、最新世代のPCIe 5.0×4インターフェースを採用し、理論上最大で約7,000 MB/s以上のシーケンシャル読み取り速度を誇ります。コントローラには自社開発された「DP800」チップが搭載されており、PCIe 5.0対応サーバーに最適化された独自アーキテクチャにより、TLC搭載SSDに引けを取らない低遅延(レイテンシ)と安定したデータ転送を実現しています。

    また、最新のストレージ技術規格である「FDP(Fine-grained Data Placement)」を実装しています。FDPは、ホスト(サーバーOS)側とSSD側でデータの書き込み先ブロックを細かく分類し、データの断片化を防いで不要なセル消去・再書き込みを減らす技術です。これにより、書き込み増幅が大幅に低減され、大容量ドライブ特有の耐久性問題が実質的に克服されました。

    現在、122.88 TBバージョンはすでに特定の大規模クラウド事業者(ハイパースケーラー)やデータセンターへの試験導入が開始されており、今回発表された最上位の245.76 TBモデルについても量産化に向けた検証が行われています。

    AI時代におけるデータ階層化とストレージの再定義

    過去10年間、エンタープライズSSD(eSSD)市場はTLCフラッシュメモリが主流でした。しかし、AI時代の到来により、データインフラの階層化(ストレージ階層化)が加速しています。

    最も高速なランダム書き込みが要求されるキャッシュ領域にはSLCやTLCが配備され、大規模言語モデルのデータセットやビデオログなどの「読み出し頻度が高く、かつ膨大なデータ」を安価に格納する役割をQLCが担うという、明確な役割分担が成立しています。HDDからQLC SSDへの置き換えにより、ラックの占有スペース削減やデータセンターの省電力化が大きく進むと予想されています。

    NANDフラッシュ半導体供給とDapuStorの市場価値

    中国の半導体産業において、YMTC(長江ストレージ)などのNANDフラッシュ製造大手が、積層数を増やした高密度なQLCウェーハを量産化しています。DapuStorは、これらの主要NANDメーカーと緊密に連携しつつ、自社開発のコントローラチップ「DP800」および最適化ファームウェアを組み合わせることで製品の信頼性を高め、独自の付加価値を築いています。

    前世代モデルである「J5000」シリーズ(最大61.44TB)での採用実績と評価に基づき、R6060は単なる容量拡張に留まらず、AI時代のサーバー要件を満たす戦略プロダクトへと進化を遂げました。

    今後の展望と導入のハードル

    R6060の量産とグローバル供給が本格化すれば、クラウド事業者の電力とスペースの効率を大幅に引き上げることが期待されます。

    一方で、QLC技術への長期的な信頼性の評価や、最新のPCIe 5.0インターフェースに対応したサーバーラック側のリプレース速度が、導入スピードに影響を与える可能性があります。DapuStorは製品ファームウェアの継続アップデートと信頼性テストによって課題の解消を進めており、今後エンタープライズSSD市場におけるQLCの存在感を高めるキープレイヤーとしてその動向が注目されます。


    出典: IT之家

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