HUAWEIは2025年11月25日、同社のフラッグシップスマートウォッチ「HUAWEI WATCH 5」シリーズ向けに、最新の独自OS「HarmonyOS 6」のベータ版(バージョン:6.0.0.116SP3)の一般配信を開始したことを発表しました。
今回のアップデートでは、ユーザーインターフェース(UI)の全面的な刷新や健康管理機能の拡充に加え、ウェアラブル端末向けに最適化されたAIエージェント機能が本格的に搭載されたことで注目を集めています。
本稿では、配信スケジュールや対象モデル、主な新機能、アップデート手順、そしてHUAWEIがスマートウォッチ分野に注力する戦略的背景について詳しく解説します。
配信スケジュールと対象ユーザー
今回のHarmonyOS 6ベータ版は、2025年11月25日より順次配信が開始されています。アップデートの対象は、同日に実施された「花粉ベータテスト」(※「花粉(ホアフェン)」とは中国国内におけるHUAWEI公式ファン・コミュニティの愛称であり、花粉症とは関係ありません)に応募し、当選したユーザーに限定された先行体験版となります。
対応モデル一覧
本アップデートに対応するモデルおよびコードは以下の通りです。
- HUAWEI WATCH 5 42mm(モデルコード:SOC-AL00)
- HUAWEI WATCH 5 46mm(モデルコード:RTS-AL00)
サイズごとに内部の基板や通信仕様が最適化されており、実質的に42mmと46mmの2サイズがベータテストの対象となります。
主な機能改善点と進化のポイント
1. ユーザーインターフェース(UI)の刷新と滑らかな操作感
システム全体のデザイン言語が一新され、視覚的な奥行きを感じさせるライティング効果や背景グラデーションが導入されました。アプリ起動や画面遷移時のアニメーションも最適化され、スマートウォッチ特有の小さな画面でも、滑らかで高級感のあるスクロール体験が可能になっています。
2. 多彩なインタラクティブ・ウォッチフェイス(文字盤)の追加
- 「趣味ステッカー」文字盤:3つのカスタマイズレイアウトが用意され、最大5枚のお気に入り画像を文字盤へアップロードして切り替えることができます。
- 「デジタルペット・華華(ホアホア)」文字盤:ユーザーの日々のストレスや活動量と連動して感情を表すバーチャルペットが登場。画面をタップすることで多様なインタラクションを楽しめます。
- 「モジュール 2025」文字盤:必要な情報ウィジェットを自由なサイズで組み合わせ可能になり、全体のカラーテーマともリアルタイムで連動します。
3. 進化したウェアラブルAIエージェント
スマートウォッチに統合されたAIアシスタント「小芸(Xiaoyi)」に、複数のAI機能が統合されました。運動・フィットネスに特化した「小芸運動健康」、高度な推論と情報要約を行う大規模言語モデル「DeepSeek」、そしてリアルタイムで音声翻訳を提供する「小芸翻訳アシスタント」などが手元でシームレスに利用できます。
4. メンタルヘルスと高地対応のアウトドア機能
心拍数やストレスの変動を分析し、12パターンの感情ステータスとして可視化する「多次元感情ヘルス」機能を新搭載。気分に合わせたリラックス呼吸法や、ペットと一緒に遊ぶストレス解消アクティビティが用意されています。
また、登山や高原地帯でのアクティビティに対応する高地気圧機能もアップグレード。血中酸素飽和度や心拍の推移から「高山病リスク」を事前に予測してアラートを出すことで、アウトドアシーンにおける安全性を確保します。
5. プロ向けスポーツモードの拡張
- ゴルフモード:全国のゴルフコースの全景およびグリーンのディティールをカラー表示し、現在地からピンまでの距離を精密に測定できます。
- トレイルランニングモード:高低差を示す海抜曲線グラフや区間ごとのナビゲーションに対応し、標高変化と走破距離を直感的に把握できます。
- また、運動の最中に画面を右スワイプするだけで、音量やトレーニング設定を素早く変更できるクイックショートカットが追加されました。
6. 接続の多様性と省電力時の通話機能
「HUAWEI S-TAG(モーションセンサー)」や社外製心拍ベルト、ペダル回転数(ケイデンス)センサー、パワーメーター等の外部フィットネス機器との連携に対応。
さらに、バッテリーを節約する「省電力モード」の状態であっても、スマートフォンの連絡先を完全に同期した通話機能が動作し、ウォッチ単体でのダイヤル発信や着信対応が可能になりました。予定を一覧できるカレンダー表示や、通知を一目で確認できる「マイナスワン・スクリーン(情報通知画面)」の機能カードも追加されています。
アップデートの手順と注意事項
ベータ版アップデートを適用するためには、現在スマートウォッチのファームウェアが以下のいずれかのバージョンである必要があります。
5.1.0.212SP11/5.1.0.215SP11/5.1.0.2176.0.0.109SP3/6.0.0.109SP11/6.0.0.113SP5
アップデートは以下の2つの方法で行えます。
- スマートフォン側からの更新:「Huaweiヘルスケア」アプリを開き、「デバイス」→「デバイス詳細」→「ファームウェア更新」→「アップデートを確認」を選択します(※現在、iOS向けアプリはベータ版更新のトリガーに対応していません)。
- スマートウォッチ本体からの更新:ウォッチを直接Wi-FiまたはeSIM経由でネットワークに接続し、「設定」→「システムと更新」→「ソフトウェア更新」から適用します。
※アップデート適用後、一時的に本体の発熱やバッテリー消費の増加、動作の引っ掛かり(ラグ)が生じることがありますが、これはOSのバックグラウンド最適化プロセスによる正常な挙動です。数日間の使用でシステムが最適化され、通常のバッテリー寿命と応答速度に戻ります。
ウェアラブル市場におけるHUAWEIの戦略
HUAWEIは近年、ハードウェアとソフトウェアの双方で「内製化」を推進しており、特にスマートウォッチを筆頭とするIoTデバイス領域でのエコシステム構築において世界的なシェアを拡大しています。
今回の「HarmonyOS 6」ベータ版の展開は、手元でAIモデル(DeepSeekなど)を活用する「ウェアラブルAIエージェント」の体験価値を先取りし、Apple Watchなどの競合に対する大きな差別化要素にすることを目指しています。健康管理とAIによる音声対話をシームレスに結びつけることで、単なるフィットネス端末から「自律型ライフアシスタント」への進化を図る同社の姿勢が明確に示されています。
出典: IT之家
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