
2025年第3四半期の世界スマートフォン出荷動向
米有力IT調査会社IDCの最新レポートによると、2025年第3四半期(7月〜9月)の世界スマートフォン出荷台数は前年同期比2.6%増の3億2,270万台に達しました。
パンデミック以降の長期にわたる買い替えサイクルの長期化や世界的なインフレによる消費低迷から、市場が緩やかな回復軌道に乗っていることを示す結果となっています。
メーカー別世界シェアと出荷実績
メーカー別出荷台数のトップ3は、サムスン、アップル、シャオミ(Xiaomi)が占めました。
- 1位:サムスン電子
出荷台数は前年同期比6.3%増の6,140万台。ミドルレンジのAシリーズが堅調だったことに加え、折りたたみスマートフォンの新型投入により市場シェア19.0%を獲得し、首位を守りました。 - 2位:アップル(Apple)
出荷台数は前年同期比2.9%増の5,860万台、シェア18.2%で2位。最新のiPhoneシリーズがプレミアム市場で根強い需要を獲得しました。 - 3位:シャオミ(Xiaomi)
出荷台数は前年同期比1.8%増の4,350万台、シェア13.5%で3位をキープ。ヨーロッパや新興国市場でのチャネル開拓が実を結んでいます。 - 4位:トランシオン(Transsion)
アフリカや南米、南アジアで圧倒的な支持を集めるトランシオンは、前年同期比13.6%増の2,920万台(シェア9.0%)と高い成長率で4位に食い込みました。 - 5位:vivo
中国および東南アジアで好調なvivoが、前年比6.9%増の2,880万台(シェア8.9%)を出荷して5位となりました。
中国市場の短期的なブレーキと今後の予測
グローバル市場が微増傾向を示す一方、世界最大のスマートフォン市場である中国国内の出荷量は同期間に6,840万台と、前年同期比で0.6%の微減を記録しました。
この背景には、同四半期が主要メーカーの製品リリーススケジュールの狭間(需要の谷間であるオフシーズン)にあたったことや、中国政府による「省エネ家電・電気製品の購入補助金(国補)政策」の割り振りが二輪車や白物家電へ一時的にシフトし、スマートフォンの購入支援効果が薄れたことが挙げられます。
しかし、9月後半から10月にかけて、各社が一斉に最新チップを搭載したフラッグシップモデルを発表したため、年末にかけて出荷量はプラスに転じる見込みです。中国最大の商戦期である「独身の日(ダブルイレブン / W11)」セールの効果も加わり、短期的な回復が見込まれています。
高価格帯シフトと「オンデバイスAI」が市場の牽引役に
今回の出荷量増の最も重要なドライバーは、高価格帯(プレミアムセグメント)端末へのシフトです。消費者は単なる安価なデバイスではなく、高性能なプロセッサ、優れたカメラシステム、そして「オンデバイスAI(大規模言語モデルをデバイス上で直接処理する機能)」を搭載したモデルに対して積極的に高い予算を投じる傾向が強まっています。
アップルの「Apple Intelligence」やサムスンの「Galaxy AI」をはじめ、各社のAIエージェント機能がスマートフォンの日常的な操作方法を再定義しつつあり、これが古い端末からの買い替え需要を刺激する最大の動機となっています。
今後の展望と競争激化する独自エコシステム
IDCの予測では、2026年の中国市場全体の出荷量は前年比で数%のプラス成長に回帰し、2021年以来の通年プラス成長を記録する見通しです。
市場シェアの奪い合いは、単純な価格競争から、スマートウォッチやスマートカーをも巻き込んだ「デバイス独自のエコシステム連携」や「独自開発OSの体験レベル」へと移っています。特に中国のローカルブランド(vivo、OPPO、Honorなど)は、ハードウェアの薄型化技術やローカルAIサービスの最適化で急速にアップルやサムスンを包囲しており、プレミアム市場での戦いはさらに過酷になることが予想されます。
出典: IT之家
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